これは、長期的に中国の方に対する、日本ブランド価値を下げ、最悪のシナリオ想定の相関関係においては、中国内で日本観光における「買い物」というものが「異常な高価格設定(いわゆる、ボッタクリ)」として、広くメディアを通じて報じられ、健全な日本製品販売(自動車にせよ、光学機器にせよ)が中国内で風評被害をこうむるということになりかねません。
商行為あるところに、「悪徳」との曖昧な境界線をみることになるのは、「常」であると思いますが、これら「悪徳」を法規制することが難しい中で、これから産業が成熟期に入り、適正な商行為が成り立ってくると、本当に中国向けの観光ビジネス体制が整うということになるとおもいます。
中国からの受け入れ態勢が「法的」にできた、ということで、まずはゼロ地点として中国人観光客の方が増えるのはいいこととおもいますが、次の問題は、日本国内で「商行為的」に受け入れ態勢ができるかということです。日本はまだまだ、こうした「外に開かれた」観光ビジネスでは先進国とはいいがたいな、と思う次第です。これから、「日本から世界へ」の日本人向け観光業ではなく、「世界から日本へ」の外国人向け観光業が国内でどれだけ発展するのか、観察していきたいと思います。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月26日