ですから、こうした日本企業の高額な経営陣報酬が流れになってくると、日本国内でも、海外と同様に、ますます、ある企業に就職しそこから上を目指していくという就業体系ではなく、経営幹部は経営幹部人材市場の中で、多くの企業(企業と官公庁の垣根もなくなっていくでしょう。)を渡り歩き、また一方で経営人材ではないある特殊的職能(営業職、企画職、技術職など)を持った被雇用者はその特殊的職能の人材市場で、多くの企業を渡り歩くという時代になっていくでしょう。
自分の能力を若年のうちから真剣にみつめ、「企業内ではなくて」、「企業の集合体としての社会で」どの専門的ポジションに自分が位置しながら能力を磨いていけばいいのかを見極めなければならないので、合理的な社会構造にはなっていくと思います(経営幹部でもなく、特殊的職能もなければ、満足のいく報酬を得にくい状況になります)。これまでの日本社会のように、一旦企業に(安定した大企業に)就職してしまえば、あとは職業的訓練も、報酬体系も一様だという状況ではないので、効率的な社会生産構造になっていくと、僕は思います。
よって、この日本企業経営者の高額報酬は、まだ表面上ではありますが、経営幹部だけでなく、日本社会全体が産業構造の人材市場体系においての、「機会均等化」を進めたことの現れとなります。