今は、まだ日本の相対的に高額な法人税の問題、外国人入国者の規制の問題、積極的対外投資について中小企業が消極的であるという問題、等多くの解決されるべき問題の前に立っているところでしょう。
このある程度の発展の段階を迎えたときに、率先して英語化が議論されるべきであります。もちろん、「現時点」での英語化にとりくむ企業姿勢もグローバル戦略への攻撃的な「パフォーマンス」としては、有効であるとおもいますから、楽天やファーストリテイリング、電気機器メーカーなどの英語化は、マーケティングロジックとして良いと思います。しかし、もし「本気」で公用語を英語に変えようと思っているのであれば、僕は「ちょっと待った!」をかけたいところでありますね。
故に、日本語は美しい!とか、文化を大事に!といったような情緒論拠ではなく組織生態学的ロジックとして「今」は「日本の社会全体」は英語化の準備ができていないだろうと僕は思うのでした。
ではでは、「今」の中国での英語化はどうか?について最後に簡単に論じておきます。
中国企業はもはや過去になりつつある「引進来」の政策(外資企業を中国内に引き入れる)とともに、多くの外国企業を受け入れてきました。また、「走出去」政策(中国企業が海外にでていくことを支援する)によって、むしろ、対中国内直接投資や対外直接投資が絶対的に増加しました。これにより「護送船団・加工貿易」政策によって経済発展した日本よりも、意図の有無は考慮せずして英語化への下準備(社会ソフトインフラ)が、整っている社会と言えるでしょう。
実際に、僕の感覚になってしまいますが、すでに中国人の多くのビジネスパーソンは、一般教養として流暢に英語を使いこなしているなぁと感じるものであります(日本人のそれなりのポジションにあるビジネスパーソンよりも)。
そう遠くない未来の時点で中国企業はこぞって「英語化」をするのか、「中英二重公用語化」をするのか、はたまた、敢えて世界に挑戦し世界を「中国語化」の渦に巻き込んでいくのか・・・。いやはや、中国の企業は、社内公用語についても、「いつ完全英語化にするんだ?」という議論に終始せざるを得ない日本の企業では考えられないような「選択肢」もありそうですね。
日本企業にはまだまだ経済的に冷たい風が吹いていますが、自然の世界では、風の色がほのかに「桜色」になってきました。日本政府からの政策が建設的に構築され、日本国内の企業に少しでもはやく暖かい企業環境、春がくることを願いたいですね。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
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「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年2月25日