ところで、中国のこうした「テーマ性ある都市開発」についてですが、このアニメパーク(動漫遊戯パーク)というのも、バイオというソフトウェアをのせたバイオパーク(バイオ基地)、環境をテーマに扱ったエコパーク、一昔前では、ICTを基軸にしたICT産業基地などと同様のプレーヤー構造から成り立っています。これらに共通していることは、認可団体(かつ公共事業的発注主)たる地方政府と、資金面で主体的に民間として動く不動産デベロッパーが組み、往々にして両者ともに当該産業を理解せずに進めてしまう計画ということがよくあります。
その結果として、「輝かしい」テーマを掲げているものの、実際には単なる土木作業となり計画失敗となることが多く、これまでICT産業基地なども多くの中国の地方で設立されそのうち残ったのは本当に僅かであると言えます。これらの問題は地方政府がいわゆる「土地開発による錬金術的収入」を目指している単純なバックグラウンドがありまして、中央政府が支持する追い風ある特定テーマを錦の御旗に、自己利益のために地方政府が勝手に計画を突き進めていくという構造があるわけです。このようにして、当該テーマを主軸にしたビジネスモデルが民間によって考えられるのではなくて、まずはこの計画段階の「テーマ都市開発」計画が主に地方政府によって、中国の地方各地に大量に誕生します。
そして、その計画の中でも、地方政府にとってその主体的組手となる民間の不動産デベロッパーが登場するところは決して多くはありませんが、中国全土でみわたしてみれば、決して少くはない場所で実際に投資がおこなわれる段階に入ります。
このように、地方政府による「計画+助成金」と、不動産デベロッパーによる「投資(資金)」がくみあわさり、「テーマ都市開発」が「テーマ」がないまま発足することが多くあるわけです。(名目上はテーマをかかげているが、実際にはスカスカの計画)
そこで、近年中国中央政府が推し進めている文化産業発展の御旗のもとで、今回のアニメパークというのも同様のプレーヤー構造での「テーマ都市開発」のひとつといえます。
さて、話を広東動漫城に戻します。
他の都市(地方政府)の計画が、不動産デベロッパーもつかずに計画倒れで終わっている中では、すでに実際に資金投下されているので、広東動漫城は良い例(まだ、ましな例)と言えます。つまり、第一段階「計画」、第二段階「資金投下」は完了しているところでありまして、第三段階の「パーク内ビジネスモデル構築」まであと一歩といえましょう。
中川幸司さんのブログ「情熱的な羅針盤