国際翻訳家連盟(FIT)の第18回世界大会が8月2日から7日まで上海で開催される。同大会が中国、またアジアで開かれるのは今回が初めて。開催を前に、本サイトはこのほどFIT副会長、中国翻訳協会副会長兼秘書長、中国外文出版発行事業局副局長で、本大会スポークスマンを務める黄友義氏にインタビューした。
中国翻訳協会副会長兼秘書長黄友義氏
◆準備は万端
――大会で発言する約400人のPPT文書はすでにコンピューターに入力されており、各フォーラムではそれぞれ4人が基調講演することになっています。中国語と英語、フランス語の正確な会議ハンドブックもいま作成中です。参加者1500人の宿泊、会議事務の手配、ニュース報道、翻訳産業展覧会などの各準備作業も滞りなく行われています。
◆中国の特色を鮮明に
――大半の参加者は初めて中国、上海に来られるので、会場に入ったとたん“中国の風”を感じ取ってもらいたいと考えています。大会は代表大会とフォーラムの2つの部分に分かれています。大会の第1日目に多くの議題について投票が行われることになっており、過去の投票カードと違って、今年の大会ではとくに中国の扇子をデザインしました。正面にFITのマークを記し、両面の異なる図案デザインを利用して投票するというのは、これまでの世界大会では初の試みです。8月の上海は炎暑ですので、扇子は納涼の効果をもたらすことでしょう。こうしたきめ細かなデザインには中国的なものがしみ込んでおり、主催者の行き届いた気持ちが十分に表れているのではないかと思います。
慣例から、文芸イベントを行うことにしています。テーマは「上海の夜」。この舞台芸術を通して中国の文化を表現していたいと思っています。
会議ハンドブックでは中国の概況、上海の概況が紹介されているほか、中国の出版物を数多く展示するなど、様々な形を通して出席者に中国を理解してもらうことにしています。また、「浦江の夜の観光」も企画しました。上海という日々めざましく発展し、繁栄している国際大都市の姿を実感してもらう計画です。
◆学術的規模・レベルで過去最高
今回の世界大会はいわば翻訳界のオリンピック。参加する内外の翻訳の著名人について、黄氏は次々と名を挙げた。
本大会の基調講演者は中国を含め以下の通り。
■Y・マンゲンシャ氏――。国連大会・会議管理部秘書長補佐。
■カール・ヨハン・レンロス氏――欧州委員会翻訳総局々長
■呉建民――元外交官・報道官、国際展覧局主席
■顧曰国――中国社会科学院言語研究所研究員、北京外国語大学校長助手兼ネット教育学院常務副院長
本大会は学術的規模、レベルで過去の大会を上回る。
――これまでの大会では一般にフォーラムは最も多くて50でしたが、今回は88にのぼります。また基調講演が2つ増えて、フォーラムの総数は90になります。数の上で過去を大幅に上回るだけでなく、テーマも多岐にわたるため、主催者として最良の効果を上げるために、とくにフォーラムでは同時通訳を増設しました。
◆国際翻訳界との協力は明るい
3年前にフィンランドンのタンペレで開かれたFIT第17回理事会で、黄友義氏は高得票で副会長に選出された。1987年に中国が加盟して以来、中国の翻訳関係者が同職務に就任するのは初めのことだった。
――私がFITで行ってきた仕事は、中国翻訳協会とすべての中国の翻訳事業に支えられたものでした。FITのベティー・コーヘン会長が話されたように、オリンピックの聖火は全世界を回り、8月に北京に到着します。世界の翻訳界も中国を注視するようになりました。私たち翻訳の仕事に従事する人たちも、このチャンスをしっかりと捉えようとしています。
「チャイナネット」2008年7月28日