文化の根元は同じということを思わせた「日中伝統音楽交流演奏会」
感慨深い音楽会は、同じ11月にもう一回あった。「日中伝統音楽交流演奏会」(主催・南京大学海外教育学院)で、日本の尺八と琴、それに中国の民族楽器の二胡、洋琴、笛、琵琶の合奏である。「花」や「草原情歌」を二胡と尺八で、「さくら」を尺八、琴、二胡、洋琴、笛、琵琶で合奏するのを聴くのは初めてだった。南京で尺八や日本の琴で「春の海」の名曲が聴けるとは思っていなかったので、とても感動的だった。外国の地で日本の古い伝統音楽の曲を生演奏で鑑賞すると、日本で聴くのとはまったく違った趣があった。日本と中国の伝統楽器の合奏は、実に素晴らしいハーモニーで、文化の根っこがともに共通であることを実感した。
この時、尺八を演奏した金野鈴道さんは、「南京に来る前は、日本人として随分緊張しました。しかし、来てみたら心配は杞憂だった。来年もまた来て演奏会をやりたい」と話していた。演奏を聴いた学生たちも、尺八の音色を聴くのは初めての人がほとんどで、「中日の伝統楽器の合同演奏がこれほど素晴らしい音色とは思わなかった」と感激していた。日中文化の根っこは同じであることを物語っているのだと思った。演奏を聴いてそのことに気がついた人たちも多かったに違いない。
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