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イオン 「郊外型戦略」で北京市場にチャレンジ
発信時間: 2010-02-05 | チャイナネット

 

デパートやショッピングモールなどの大型商業施設が市内の各繁華街に点在する北京。そんな中で中心部からずいぶん離れた郊外に出店しているイオンモールは、スタート時からこんな場所で大丈夫だろうかと心配されていた。2008年11月の開業から1年ほどたった今、日本で大成功した郊外型ショッピングセンターの戦略は北京でも通用しているのだろうか。

平日のイオンの平面駐車場は、周辺の荒涼たる環境とは裏腹にほぼ満車だった。広々とした店内は決してにぎやかだとはいえないが、かなりの数の買い物客が行き交っている。イオンモールの西尾徹二総経理は「週末の客数は平日の2.5倍」と話す。

生活用品をイオンに頼っている周辺住民も少なくない。イオンからクルマで15分ほどの場所に住むある月刊誌の編集長をしている趙さんは、毎週1回か2回イオンに通う。「イオンができてから中心部に買物に行ったことがない」と言うように、イオンにあるスーパーや衣料品専門店、家庭用品の店、ペットの店、レストラン、映画館などの施設は、ほぼ趙さんのニーズを満たしているようだ。

だが周辺の住民だけではこれほど大規模なショッピングセンターを支えることはできない。いかにして中心部の住民を引き寄せるかがイオンショッピングセンターの勝負どころだ。

 

 

「開業には6年ほど準備し、北京の市場がイオン開業に必要な条件を満たすまでずっと待っていました」と西尾総経理。必要な条件とは、郊外道路の整備や自家用車の普及などだ。西尾総経理は「クルマ社会の到来で、人々のライフスタイルや買物のスタイルも変わります。渋滞や駐車難が目立つ中心部と比べ、広い無料の駐車スペースがある郊外のほうがマイカー族にとっては魅力的ではないでしょうか」と話すが、これだけではまだ足りない。イオンは中心部の客が頻繁に訪れてくるよう魅力ある店づくりを積み重ねている。

まずは日本のショップだ。イオンに入っている専門店の3割は日本の店で、中国全国を見てもこれらのブランドは北京のイオンにしかない。ブランドが中国で定着するまでにはまだ時間が必要で、経営も100%順調だとは言えないが、日本の物を好んで買う若者もいる今、これらの店舗は言うまでもなくイオンの看板である。

そしては家族で一緒にゆったりとリラックスできる楽しい非日常的な空間の創造。北京イオンにはスーパーや専門店のほかにも、レストランや子供の遊び場、映画館などの施設も揃っており、家族全員がここで楽しく一日を過ごすことができる。特に映画館は遠くに多くの人たちを引き付けているらしい。

もう一つはお客さんに日本式のきめ細やかなサービスを体験してもらうことだ。イオンは日本での小売業の経験を生かし、専門店の従業員も含め、接客面で工夫を凝らしている。また魚売り場では浄化された水を使用するなど、思いやりのあるサービスを多く提供する。

イオン国際商城ショッピングセンターの開業はリーマンショックの時期と重なった。「最初は専門店の数も少なく誘致も難しかったですが、今はほぼ全ての店舗が開業し、予想通りのスピードで売り上げを伸ばしています。中国ではイオンのブランドがまだ確立されていないため、黒字に転じるには日本より時間がかかると思います。日本では普通1年ですが、イオン国際商城ショッピングセンターは今の勢いでいけば来年は黒字になるでしょう」と西尾総経理は今後のイオンの成長に期待している。

 

「チャイナネット」 2010年2月5日

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