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まほらまの南京生活⑪宣戦布告なき交通戦争 |
発信時間: 2010-02-21 | チャイナネット |
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◇プロの誇りの運転手や接客態度◇ 中国の運転手全部が無謀運転だったり、交通ルールを無視するわけではない。車の往来が少ない郊外にある広い道路で、マイカーやバイクが赤信号を無視して通過するのを横目に、私が乗ったタクシーの運転手は、信号が青になるのをじっと待っていた。「車が来ないのに、なぜ、信号を守るのか」と私が質問すると、運転手は「私はプロだからね」と一言、ぽつりと答えた。 日本の友人を案内したときに契約したマイクロバスの運転手は、市内の繁華街で赤信号を無視して横断している歩行者が過ぎるのを辛抱強く待っていた。トルファンへの旅行で、南山牧場への半日チャーターしたタクシーの女性運転手は、車が進入禁止の場所で降りて、一緒に観光地を歩いて案内してくれた。車代はお礼の気持ちを込めて余分に払った。女性運転手は遠慮勝ちに受け取ってくれた。運転のプロとして交通ルールを守り、サービス業のプロとして相手への思い遣りの心が、結局は事故防止につながるのだと思う。安全施設の整備とともに、思い遣りのある運転マナーの啓発が肝要なのではないだろうか。 ◇効果ある子供への交通安全教育◇ 日本の交通戦争がピークになった時、私は駆け出しの新聞記者だった。交通事故現場に何回も駆けつけた。母親の目の前で、よちよち歩きの園児が、酔っ払い運転の車にはねられて死亡。集団登校の小学生の列に居眠り運転のトラックが突っ込んで数人が死傷。これらの事故現場を取材して記事を書くたびに、日本の経済成長は、このような無抵抗な子供たちの犠牲の上に成り立っているのではないかと、悔しく思った。だから、幼稚園や小学校で交通安全教室が行われるのを取材したときには、せめてこの子供たちは、事故に遭わないようにと祈らずにはいられなかった。 そして、事故防止対策は、子供時代から交通ルールを守るよう指導することが事故を減らす大きな要因になるのではないかと思った。効果が表れるのは30年後、40年後になるかもしれないが、最も確実な事故防止対策の一つではないかと思う。運転者、歩行者が互いに相手を思い遣り交通安全に心掛けるのは、日常生活でともに暮らす相手を思い遣り、平和に暮らす心にも通じるものである。幼稚園や小学校時代に体得した相手への思い遣りは、親になって育児や家庭教育をする場合、自然と子供たちに伝わるものだ。日本で半世紀前の交通死者数に戻ったのは、子供たちへの交通安全教育が奏功したのだと思う。 中国でも日本のこの数字を、ぜひ、参考にしてほしいと思う。車を売って利益を上げるメーカー側も、企業の社会的責任の一つとして、事故防止のノウハウを合わせて伝えてほしい。車を販売して利益を上げながら、事故防止の体験も同時に伝えることが“ウィン・ウィンの関係”といえるのではないだろうか。(写真はすべて筆者撮影) 「北京週報日本語版」2010年2月21日
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