数年前、中国の若者に最も好きなアニメ・マンガ作品を尋ねた調査では、日本作品が60%を占め、欧米作品は29%、中国国産はわずか11%だった。これは1980年代、90年代に米国と日本のアニメを大量に輸入したことが関係しているが、その状況は既に変わったと、韓国でアニメ技術を学ぶ中国人留学生は言う。
以前、中国のアニメ界はもっぱら幼児向けに作品を制作していたのに対し、日本と韓国におけるターゲットの年齢層は広かった。しかし全国民がマンガ狂という日本社会は、それはそれで新たな社会問題を引き起こしている。マンガ世界の中で友だちを作ろうとする子供たちだけでなく、少なからぬ大人たちが仮想世界に引きこもり現実逃避するという現象も問題になっている。
アニメ産業の影響力は作品のみに留まらない。業界関係者によると、アニメ産業の収益のうち80%以上は関連商品からのものであるという。書籍、映画、ビデオ、ゲーム、オモチャ、テーマパークといった一連の商品が収益をもたらし、国内文化を国外に伝える足がかりとなる。すでに、『喜羊羊と灰太狼』(中国で子供たちに人気のアニメ)などのアニメキャラクターの関連商品はアルジェリアなど他国の市場に並んでいる。
日本やアメリカなどアニメ大国に比べれば、中国アニメ産業はまだ成長の初期段階にあり、国際的な影響力や競争力は弱い。しかし技術的な面から言えば、日本は伝統的な二次元アニメが発達しているのに対し、中国は三次元アニメで一歩先を行っている。例えば、中国・ドイツ合作の3Dアニメ『パンダ総動員』のイメージキャラクターが東京国際アニメフェアで初めて発表されている。来年初頭に全世界で封切られるこのアニメ映画は、3.5億中国元の制作費と6年にわたる制作期間がかかっており、業界では、二年前のハリウッド制作アニメ『カンフーパンダ』の対抗馬と目されている。(AP通信)
「中国国際放送局 日本語部」より 2010年4月12日