サッカー日本代表について、中国人記者たちはほぼ一様に「素晴らしい団結心だ。中国のサッカーに一番欠けているのはまさにこれだ」と話す。こうした見方を私は否定しない。私たちが小学生の頃、集団登校を実施しており、決まった時間に決まった場所に集合し、班長を先頭に一列に並んで歩いて通学した。中学、高校、大学、そして社会人になるまでずっと長い期間にわたって団結心を培い、私たちは自然と組織のために献身することができるようになった。私は北京の中学校で外国人教師を務めているが、学校で子どもたちが団結心を養うような場面をほとんど見たことがない。見かけるのは父兄が高級車で子どもを送り迎えするところだけだ。
中国のサッカーファンのなかには、アジアの代表である日本チームの際立ったパフォーマンスを見てため息をつき、中国サッカーを否定しがちになる者も少なからずいる。私が思うに、中国サッカー界の体制に関わるいくつかのマイナス要素を少しずつ改め、サッカーを政治化させずに本来の姿に戻す、これが中国サッカー「復活」のために必ず通らなければならない道ではないか。今回のワールドカップで私が再認識したのは、中国は世界最大規模の人口とサッカーファン予備軍を抱えているので、合理的で公平性、透明性のある市場競争が行われれば、サッカーは中国の人々により多くの富と楽しみをもたらすに違いない。また、最近サッカーをめぐるスキャンダルが次々と明るみになり、一般市民によるオープンな議論が日増しに熱を帯びていたが、解決に向かいつつある。中国サッカー界の体制内外の要素が健全な方向に向かうことを期待している。
もちろん、中国の人々のサッカーに対する態度は、体制やスキャンダルよりも切迫した問題だと言える。現在、中国のほぼ全ての親たちは、サッカーを自分の子どもが名を成し、あるいはお金を稼ぐための功利追求の手段ととらえている。私は日本で中長距離走ユースチームの一員であった立場から、ひとこと言いたい。このような出発点は誤っており、サッカー入門者に対し敷居を高くしてしまうだけでなく、非現実的である。子どもがサッカーをする目的は本来、体と精神力の鍛錬、友達との楽しみの共有、団結心の習得であり、これらは社会人になった時、非常に役立つ知恵として生かされる。中国サッカーの出発点をめぐる本末転倒な事態は、中国サッカーが困難な状況を抜け出せない根本的な原因であり、今後の発展を阻む最大の障害となると見られる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月20日