新産業である植物工場の需要に応じ、昭和電工株式会社は、植物の育成に最適な波長の光を発する赤色LEDの開発に成功している。現在、日本全国にある10以上の植物工場で採用されており、2010年度の売上額は10億円に達する見込みである。
だが「植物工場」はイニシャルコストが高いのが欠点とされている。5平方メートルにも満たない「植物工場」を作るのに少なくとも300万円を投資しなければならない。また、都市部で植物工場を設置できるほど場所的に余裕のあるレストランは非常に少ない。また、農林中金総合研究所の基礎研究部副部長である清水徹朗主任研究員によると、大量の電力エネルギーを消費することも、植物工場の普及を阻害する要因となっている。
三菱樹脂株式会社は、この度、野菜を効率的に栽培する技術を発表している。この技術はコスト面、省エネ面で優れているため、日本での普及が容易とされている。この技術は、紫外線をカットする機能性フィルムや養液栽培技術などを組み合わせ、狭い空間で効率的に農作物を育てられる、というのが特徴である。通常のハウス栽培に比べ、面積100平方メートルあたりの収穫量は最大4倍になるという。同社によると、来春にはこの技術の商品化を見込んでいる。
現在、日本企業は国内で自ら農業法人を設立し、技術の優勢面を利用した農業経営を行っている。日本最大手の農薬メーカである住友化学株式会社はすでに農業ビジネスに参入している。昨年5月、同社は長野県で農業法人を設立し、ハイテク技術を利用したイチゴ栽培を行っている。まもなく全国で30~40カ所の生産基地に増やしていく計画で、2015年までにはイチゴの売上額は50億円に達する見込みである。
日本の六次産業化の発展にともない、日本の大手企業は技術をふんだんに盛り込み農業を活性化させていこうとしており、日本における農業の「工業化」が今後いっそう進むであろうと思われる。今のところ、日本の食料自給率(カロリーベース)はわずか40%で、しかも穀物自給率は28%しかない。日本政府は2020年までに食料自給率を50%まで引き上げる目標を掲げている。この目標を達成するには、農業の工業化が新たな手段となるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月23日