資料写真:中国の高速鉄道
少し前、中国に訪れていた日本の前原誠司国土交通相は、上海に着くなり、すぐに虹橋総合交通ハブに向かい、自ら中国の高速鉄道(中国版新幹線)「和諧号」に乗車し、視察を行った。今回の前原氏の意欲的な行動とは矛盾するようなことが、今年の初め、日本国内では起こっていた。それは、中国の高速鉄道を巡る激しいバッシングだ。「技術の盗用」だとか、「安全性が疑わしい」など、あれこれと叩かれていた。ではなぜ、日本の態度は批判から一転、賞賛に変わったのか。
中国高速鉄道の時速、日本の新幹線を抜く
中国高速鉄道の建設において、日本、フランス、ドイツなどの技術を取り入れたことは確かだ。当初、日本は、中国の高速鉄道技術を評価しておらず、たいしたことはないと認めていなかった。政府が取った「市場での技術交換」政策は、中国が外国技術を消化し、吸収することを速いテンポで成功へと導いた。そこから更に、新しい技術をこんなにも速く開発できるとは、日本にとっては予想外のことである。
統計データーによれば、中国は既に数千もの高速鉄道関連の特許を取得していて、要となる技術の15%以上は独自に開発したものだ。また、関連する機関車や施設の国産化の割合も85%以上である。2010年には、中国高速鉄道の最高時速は350キロメートルに達し、これは、日本の新幹線の1.25倍の速さである。
中国はなぜ日本を越えることができたのか
中国のこの記録越えを目の当たりにし、日本の高速鉄道企業の大抵が、すぐさま中国の技術は盗んできたのもので、速さを追求するあまり、安全性はおろそかになっていると決め付けた。しかし、技術の盗用で訴えようと思うなら、証拠を示す必要がある。これまで、実際に訴訟を起こしたメーカーはない。
日本でもっとも歴史の長い鉄道会社であるJR東海(東海旅客鉄道株式会社)の松本正之代表取締役副会長は、「中国の高速鉄道の速度は極限のレベルに達しているが、安全性を考えれば、私たちは決してそこまではやらない」と述べている。このような安全性を疑問に思う声はあとを絶たない。しかし、時速350キロメートルと言っても、それはあくまで、最高時速であり、実際の運行時の速度は時速270~300キロメートルの間で調整されており、時速200キロメートルで運行している路線もある。
この度の前原氏の訪中は、あれこれと中国のあら捜しをするよりは、中国がなぜ日本を追い越すことができたかの秘訣を探ったほうが賢明だということに、日本が気づいたことを表わしているのではないだろうか。
(筆者:于海洋 吉林大学行政学院国際問題専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月1日