今年第2四半期(7~9月)の中国国内総生産(GDP)が日本を越えたという情報はすでに世界中に知れ渡っている。どれも似たような記事だが、肝心なのは国民一人当たりのGDPにおいては、とりあえずは日本を越えることはできないということだ。(※注:中国の国民一人あたりのGDPは3600万米ドル、日・米の1/10、法・英の1/6に及ばない)
日本第一生命経済研究所の雄野英生氏の指摘は驚くべき内容で、人々の目を覚ましたのだった。彼が言うには、「日本はGDPで中国に追い越されたが、インフレの水増し部分を引いて計算すると、日本のGDPは中国の3倍のままである。中国のインフレと日本のデフレの相互作用によって、このような統計上の虚像が生まれたのだ。」
中国「世界2位」の4つの疑問
疑問その1:中国のGDPはどのくらい水増しされているのか。
GDPに関して、中央政府と地方の統計データーには大きな差がある。その原因について、著名な経済学者である許小年氏はこのように解説した。「専門的な分析をしなくとも、簡単なロジックによって答えを導く事ができる。地方政府が誇張して虚偽の報告をしているか、国家統計局が故意に低い数値を報告しているか、あるいはその両方だ。」
疑問その2:なぜ、政府と民間の両方にプレッシャーがあるのか。
政府、企業、個人の三者間の財力関係はとっくに均衡を失っている。15年前から現在に至るまで、中国政府の財政収入は8.8倍増加し、全国規模以上(国有企業と年商500万元以上の国有企業)の工業企業における純利益総額は17.7倍増加した。しかし、都市部の住民の収入は2.7倍の増加、農村部の住民は2倍の増加に留まった。このように、中国の貧困格差は大きいが、「GDP世界2位」という世界の目は国にも国民にも大きなストレスだ。
疑問3:「世界2位」の為にどのくらいの代償を払う必要があるのか。
1990年代から、各地政府はすでにGDP競争のために奮闘してきた。極端に低いエネルギー価格や水価格、環境保護基準も低くし、土地価格や税収も下げるなど、各地は競って優遇対策に投資した。その結果、深刻な環境破壊や資源不足、社会という共同体の分裂など高い対価を払わされることとなった。
疑問4:中国はどのような形の「世界2位」を望むのか。
今後、中国は経済発展の方向性を「量」から「質」の追及へと転換し、国が裕福かどうかではなく、国の労働者が裕福かどうかを基準にするべきである。中国の国民の発展も「世界2位」になることができれば、その時こそ、中国は世界に誇る国になることだろう。
(総合『参考情報』など)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月3日