「Made in China(メイド・イン・チャイナ)」が世界中に溢れている今、中国は「世界工場」という地位を手に入れた。しかし、「メイド・イン・チャイナ」のものは世界においては賛否両論であり、中国国内でも自分たちの「世界工場」という地位に対しては支持と批判の両者に分かれている。世界中が金融危機の打撃を受けている中、貿易に対する保守的な考え方が横行している。その為、「メイド・イン・チャイナ」の勢いも衰え、国内企業の生産能力の過剰は厳しい状況にあり、貿易摩擦も後を絶たない。「世界工場」中国は今、正に毛虫が美しい蝶に変身する前の辛い忍耐の時期に直面しているのだ。
歴史から見れば、イギリス、アメリカ、日本はそのパワフルなイノベーション力と製造力で、「世界工場」の役割をそれぞれ果たしてきた。
日本を例にとって見てみたい。1955年から1974年にかけ、日本は「重化学工業化」と「加工貿易」型の貿易構造により発展してきた。国際分業を積極的に受け入れ、経済発展の基礎を築いたのだ。第一次オイルショックの後、経済発展の戦略転換を行い、1975年から1990年にかけ、「技術立国」という新しい考えによって、日本の技術は目覚しい革新を遂げた。世界でもっとも精密で価格も手ごろな生産品を大規模に生産する事ができた。新たな「世界工場」として、日本は世界経済と現代社会の発展に偉大な貢献をしたのだ。例えば、「トヨタ生産方式」のような、工場における生産活動の運用方式の革命。更に、終身雇用制度、年功序列、企業別組合に見られる「日本式経営」は、それまでの資本主義の組織構造を大きく変えた。
イギリス、アメリカ、日本のようなかつての「世界工場」に比べ、中国は量でも質でも大きく劣る。
量から言えば、「世界工場」の製造業が世界に占める割合がもっとも高い時で、イギリスが53%、アメリカが40%、日本は20%だった。それに対し、現在の中国はたったの15%であり、その差は歴然だ。
では、質はどうかと言えば、「安価」は長い間、「メイド・イン・チャイナ」の代名詞であった。そのため、世界の貿易保守主義の最大の標的であり、15年連続、アンチ・ダンピング調査のもっとも多い国のひとつである。2009年、世界のアンチ・ダンピング調査の35%、反補助金調査の71%は中国が絡んでいる。
先進国が中国に与えた「世界工場」という名は、伝統的な意味でのものではなく、日本などのものとも差異がある。その真の意味は「時代の変化に対応する世界工場」である。言ってしまえば、中国は、過大なエネルギー消費と高い生産コストがかかるが、技術力が低く、生産する製品の付加価値は低い。更には、汚染を助長する「世界の『加工』工場」である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月6日