村上春樹や片山恭一という日本のベストセラー作家が中国で知られるようになり、中国人読者たちの支持を得ているのは、こうした作家たちの翻訳をしてきた林少華氏に寄るところが大きい。
北京の日本文化センターでは11日、『世界の中心で、愛を叫ぶ』の作者である片山恭一氏の講演会が開かれ、200人余りのファンたちを前に、「純愛文学の可能性~日本人の死生観」というテーマの講演が行われた。またこの小説を中国語に翻訳した林少華氏も参加し、片山氏の小説などについて感想を語った。
愛の希望を与えた純愛小説
今の時代は、性的魅力が正々堂々と言われ、純愛が性愛に席を譲る時代だと林氏は言う。中国も日本も作家たちはまさにその役になりきっており、中国でも性愛の描写で名を知られるようになった小説家は多い。日本でも異常な性体験や青春を描いた作品が直木賞を受賞していることからみても、社会全体の品位や審美眼が後退しているのではないかという声も聞こえてきそうだ。
そんな中で日本では、『世界の中心で、愛を叫ぶ』のような純愛小説が登場し、中国では「サンザシの恋」という「史上最も純潔な愛情物語」が生まれ、この「汚れた」世界の中で人々に純愛の希望を与えた。
林氏は「この2つの作品では、愛の価値や真の意味を表現しており、本質的な貴い人間性への回帰を求め、人々の魂を洗い清める力がある。これはまさに純愛、純粋、純潔、純正の力だ」と話す。
従来の私小説を超えた片山氏