1970年代から80年代生まれの人々の記憶には、イヤホンを耳につけたままで宿題をしたり、お小遣いをためてカセットテープを買ったりした思い出がある。そんな風にいつも身近にあったウォークマンだが、ソニーは22日、カセット型ウォークマンの生産を終了すると発表した。だがこれは意外なことではなかった。「銭江晩報」が伝えた。
意外だったのは記憶の力だ。この短い報道が伝わるやいなや、淘宝、マイクロブログ、人人網などの若者が集まる場面で、昔を懐かしむ声が突如としてわき起こった。ネットには次のような書き込みが次々に現れた。
「同じような方いませんか。ウォークマンで英語の勉強をするふりをして、いつも『忘情水』を聴いていました」
「そうそう、4年生の時、ウォークマンを買うために、わざと復読機を壊したんだよね」
「あのころソニーのウォークマンを持っていることは、今iPhoneを持つより何倍もかっこよかった」
広州市のある業者は26日、ショッピングサイト「淘宝網」でソニー「WM-fx290」8台を売った。仕入れてから2年間売れなかったウォークマンだが、ここ数日はひっきりなしに問い合わせがあり、22日から今日までの間にすでに36台が売れたという。買い手の多くは実際に使うのではなく、ニュースを聞いて収集用に1台買おうとしているのだという。
ソニーの中国顧客サービスセンターの関係者によると、実際にはカセットテープ再生機の生産と販売はとっくに終了している。最後のウォークマンは今年4月に製造されたもので、店頭の在庫がなくなり次第、販売終了になるという。「収集用」や「記念用」としてのカセット式ウォークマンを今後発売するかどうかについて、ソニーは明確な回答を避けている。ソニーによると、欧米や一部のアジア諸国の利用者のニーズに応えるため、中国でのカセット式ウォークマンの生産は今後も継続する可能性があるが、時期や数量はまだ決まっていないという。
「人民網日本語版」2010年10月28日