周知のように、日本は経済力の高まりとともに、政治大国化志向を膨らませてきた。自民党政権時代、日米は寄り添って歩んでいた。だが次第に豊かになるに伴い、日本も米国から離脱し、軍事・政治面で壮大な計画の実現を望むようになった。この傾向は民主党内でより顕著だ。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
菅直人首相も元々は民主党の伝統に沿い、米国からの離脱を望んでいたが、タカ派グループの前原誠司氏などに政策の舵を握られてしまった。親米派の前原氏の過激な発言によって菅首相は進退窮まり、いつの間にか古い日米同盟路線に戻っていた。
だが普天間飛行場移設問題によって、すでに日米関係は深く損なわれた。また、釣魚島海域で起きた船舶衝突事件、および東中国海ガス田問題で中日関係も悪化した。さらにロシアのメドベージェフ大統領による南千島列島(日本は北方四島と呼ぶ)視察まで降りかかり、日本政府は焦慮を募らせた。こうした事態を前に菅直人内閣は有効な対応措置を取ることができないばかりか、動揺すら見せている。現在の日本外交はすでに方向性を見失っていると日本メディアは指摘する。
■日本メディア:外交基軸を欠き、日本外交は方向性を見失っている
共同通信は、安全保障の根幹である日米同盟に揺らぎが生じたことが主たる原因だと分析する。日本の「守り」が緩めば、周辺国が手を伸ばそうとするのは当然だ。日本の国内総生産(GDP)が中国に抜かれて世界3位となり、「日本の財力」が魅力を失いつつあるのも原因の1つかもしれない。
報道は、民主党政権の外交基軸の欠如も大きな要因と指摘する。日米同盟を選択するのか、それとも国連を中心とする国際協調なのか、あるいはアジア重視なのか。民主党は昨年の衆院選のマニフェストで「緊密で対等な日米同盟」の確立と「アジア外交の強化」を打ち出した。東アジア共同体構想には、多くの人々がアジア新秩序構築への期待を抱いた。だがこの構想が一切具体化されないまま、菅首相は「日米同盟深化」の必要性を繰り返し口にしている。報道は「菅内閣はすでに『外交に不慣れ』なことを口実にすることはできない。政治家、民間などあらゆるチャンネルを通じて、外交関係の再構築に着手する必要がある」と指摘する。
「人民網日本語版」2010年11月4日