菅首相(左)とオバマ米大統領
日本の政界で暴風雨のような変化が再び演じられている。6月2日に鳩山由紀夫首相が突然辞任を表明。その2日後、菅直人氏を首相とする第2次民主党内閣が発足したのだ。「半月談」誌が伝えた。
日本メディアによると、菅氏の主導の下で、新政権は内閣と党務の両面で非小沢派や反小沢派の急先鋒を多く重用し、民主党の「小沢色」を大幅に薄めることで、いわゆる「脱小沢」を実現した。たとえば仙谷由人新官房長官と枝野幸男新幹事長は、小規模の新しい保守グループである花斉会と凌雲会に属している。こうした人事は新内閣の今後の内政・外交方針に影響を与えると同時に、党内矛盾・闘争激化の種にもなると分析されている。
鳩山前首相は昨年9月の就任以来、米軍普天間基地移設問題について様々な努力を払ったものの、選挙時の約束を果たせず、それが辞任に追い込まれる大きな原因となった。
菅首相は6月11日に国会で行った所信表明演説で「日米同盟を外交の基軸とし、同時にアジア諸国との連携を強化する」と表明。日米同盟については「日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の安定と繁栄を支える国際的な共有財産と言える。今後も同盟関係を着実に深化させる」と位置づけた。民主党の対米外交は、沖縄米軍基地移設問題での妥協を転機に後退した。「緊密で対等な日米関係」という政治理念を放棄し、自民党時代の対米従属路線に回帰したのだ。
アジア外交については「アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化などさまざまな面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していく」と表現。対中関係については「中国とは戦略的互恵関係を深める」の一言だけ、韓国・ASEAN・インド、およびロシアや朝鮮との関係についても軽い言及だけだった。このことから、すでに新内閣は日本外交の天秤において対米関係の分銅を重くしており、対アジア関係との釣り合いが崩れたことが見てとれる。両者はすでに同じ重さではないのだ。
これと関連して、民主党の対中外交姿勢にも変化が起きている。実はこの変化は早くも鳩山内閣後期に生じていた。岡田克也外相が「中国は核軍縮の約束を履行していない」といわれなく非難したり、日本海軍が太平洋に通常の出入りをする中国軍艦艇を追跡・挑発したことなどだ。菅氏が首相就任直後に訪中計画を取り消したことは、なおさら軽視できない動きだ。米国の機嫌を取るためのポーズだとか、ホワイトハウスからの圧力の結果だとかいった釈明は、いずれも説得力に欠ける。
その宣言だけ見れば、民主党の新内閣は外交面は基本的に自民党の遺産を受け入れており、両者に余り大きな違いはないと言える。だが、今後の対外政策がどう展開されるかは、「その言葉を聞く」だけでなく、「その行動を見る」ことがより重要となってくる。(張可喜・新華社世界問題研究センター研究員)
「人民網日本語版」2010年7月2日