揚州と奈良の新たな一歩
コラムニスト、『中国新聞週刊』主筆。
1960年に生まれ、1982年に南京大学卒。中日経済関係についての記事、著書が多数。
鑑真和上坐像の揚州市への帰省は、両都市間の新しい交流にもつながっている。
「平城京遷都千三百年の年に、揚州と奈良は友好都市になりました」と王副市長は友好都市締結の意義を強調して言う。揚州はすでに日本の厚木市、唐津市と友好都市関係を結んでいるが、新たに奈良がそれに加わったのである。鑑真和上は揚州の出身であり、現在も大明寺は揚州で人々の信仰を集めている。そして、揚州にある鑑真記念堂は、三十年前に著名な建築家である梁思成氏が、唐招提寺の金堂をもとに設計したものである。
鑑真和上坐像は十一月二十六日から揚州鑑真図書館――この唐時代の外観を持つ図書館で十日間ほど一般大衆の参拝・見学を受ける。「この時期は、坐像にとっても最適な気候であり、一般市民の前に出ていただくのに適した温度、湿度です」と王副市長は付け加える。
そして、揚州では大明寺の周りに一万本の桜の木を植える計画が立てられている。「三年間の計画が一万本ですが、実は将来的には三万本ほどに増やしていきたいのです」と揚州市役所の謝徳峰広報部長は、より大きなプランを温めていることを明かす。そして、在上海日本総領事館から推薦してもらった桜の品種は、大島桜と枝垂れ桜だとも話してくれた。
奈良と揚州の友好都市締結、鑑真和上坐像、桜などなど、揚州では今回の帰省がホットな話題となりつつある。「鑑真和上の帰省に合わせて大法会を開き、また書道展、仏教芸術祭なども同時に開催します。特に、鑑真和上には揚州の変化、中日関係の変化などを見ていただきたいと思います」と、王副市長は揚州の「改革・開放」後三十年の変化を見せたいようだ。
一方、奈良では遷都千三百年の記念行事の一環として、中国の建築家・梁思成氏の彫像を市役所の近くに設置する予定である。日本生まれで奈良が大好きな梁氏は、第二次世界大戦の末期に、米軍司令部に対して奈良、京都には重要文化財が数多くあるので爆撃を避けてほしいと掛け合ったと伝えられている。
より良い都市をテーマとする万博をきっかけに、揚州と奈良は交流を深め、互いにより良い都市へ進化しようとしている。
人民中国インターネット版 2010年7月23日