次に、対外貿易の積極的な推進作用だ。
日本は資源が乏しく、市場の小さい国であり、その経済発展では対外依存度が非常に高い。50年代以降、日本政府は「貿易立国」戦略をうち出し、55年から対外貿易が急速に増加した。57-81年の対外貿易の年平均増加率は11.6%、輸出の年平均増加率は14.2%で、87年には世界最大の貿易黒字国になった。
中国は改革開放の後、「輸出を方向性とする」戦略を積極的に推進し、対外貿易が急速に発展した。78-08年の年平均増加率は18.1%で、同期の世界平均の2倍に達した。特に01年に世界貿易機関(WTO)に加盟すると、輸出入貿易の年平均増加率は25.9%に達した。78年から08年の間に輸出入貿易額は211億ドルから2兆5616億ドルに増加し、世界貿易に占める割合は0.8%から8%以上に上昇した。
中日経済の高度成長期間にはこのような共通の特徴があり、ここから後発国が経済成長を達成する上での共通の規律がうかがえる。中国には人口、資源、市場で大きな優位点があり、中国の高度成長が継続時間やペースで日本を上回るのは当たり前のことだ。だがこれと同時に、中国経済が高度成長で勝ち取った成果と日本経済が奇跡の中で勝ち取った成果とには大きな相違があることに注意しなくてはならない。
第一に、中国の直面する持続可能な発展の圧力がますます大きくなっている。
日本は70年代以降、省エネ・環境保護の取り組みを強化し、これにより日本製品は世界の主要な競争の場で優位点を備えるようになった。これと同時に、日本は対外投資を拡大して他国の日本に対する輸出圧力を緩和した。80年代以降、日本は徐々に世界最大の対外投資国となり、また世界最大の債権国となっていった。
中国経済は数年にわたる高度成長の過程で、ますます大きな国内の資源環境の圧力と海外の保護主義の圧力に直面するようになった。現在、中国の資源利用効率は日本よりはるかに低く、環境コストは日本よりはるかに高い。GDP1万ドルあたりの資源消費を例に取ると、日本では標準石油1.03トンで済むところが、中国では約8倍にあたる8.89トンが必要だ。
中国の対外貿易の急速な発展は、中国経済の成長と外貨準備の増加を大幅に促進してきた。だが価値連鎖(バリューチェーン)の視点からみると、中国の獲得した利益は多くない。これは主として中国の科学技術の水準が低く、国際分業での地位が低いことによるものだ。中国の対外貿易では、海外の多国籍企業が主導する「両頭在外、大進大出」(原材料と市場を海外に依存し、原材料などを大いに輸入し、生産した製品を大いに輸出する)型の加工貿易が占める割合が半数を超える。中国が輸出するハイテク製品のうち、独自の知的財産権を備える製品は極めて少なく、ほとんどが代理加工した製品だ。最近の各国における保護主義の台頭により、中国の輸出の伸びはますます大きな圧力に直面するようになった。輸出は当面の中国経済の主なパワーであり、その構造が改善されなければ中国経済の今後の成長に直接影響を与えることになる。