実質的な影響はない
レアアースの輸出問題における世界と中国との駆け引きはずっと続いており、とくに輸入依存度が高い日本の動きは絶えることがない。日本政府はこのほど、「レアアース総合対策」をまとめ、別の国と提携して新たな鉱山を開発することなどを明確に打ち出した。目下、ベトナムやモンゴルなどとの協調を積極的に進めている。
「これも中国に圧力をかけることがねらいだ」とある業界アナリストは指摘。「欧米は日本に大量のレアアースを輸出することはできない。埋蔵量に限界があるうえ、自国の需要も満たさなければならないからだ。『連携』と言っているが、ねらいは中国に圧力をかけることにあり、実質的な影響はなにもない」と話す。
確かに、日豪双方の合意に基づくと、「ライナス1期プロジェクト」は2011年第3四半期より操業を開始する予定で、年間1万1000トンのレアアース酸化物を生産する。2期プロジェクトは2012年に操業を開始し、生産能力は2万2000トンまで拡大される見込みだ。一方、中国の09年のレアアース酸化物生産量は約13万トンで、今年の輸出割当は3万トン。レアアース採掘・加工企業の多くは、なんの影響もないと表明している。
業界アナリストは、「中国がいまやらなければならないのは、レアアース産業を強大にし、価格決定権をしっかりと握ることだ」と指摘。「中国は05年から小規模な鉱山の整理を開始し、これは非常に成功している。税関などの部門も通関手続きを厳格化させており、中国のレアアース産業の価格決定能力を効果的に保証している。今後はさらに規制を強化する」との見方を示した。
高付加価値化を推進