王 屏(中国社会科学院日本研究所政治研究室主任・研究員)
今年10月20日前後に『瞭望東方週刊』と『読売新聞』が実施した中日共同世論調査の結果によると、日本では中日関係を「悪い」と回答した人が90%、中国を「信頼できない」と回答した人が87%いた。また中国では中日関係を「悪い」と回答した人が81%、日本を「信頼できない」と回答した人が79%であった。世論調査のデータが100%現実と符合しているわけではないが、現在の中日関係をめぐる情勢と、世論調査で双方に近い結果が出たことから考えて、中日両国の国民双方が思う通り、両国関係の急速な悪化や中日関係の発展が妨げられていることは争えない事実である。
もともと、日本が政権交代を実現した後、その内外政策はすっかり一新された感があった。と同時に、われわれも新政権の内外政策の「変化」と「不変」に対して心の準備を整えた。しかし、日本外交は「変化」からスタート地点の「不変」へと戻ってしまっただけでなく、予想外なことに極めて速いスピードでマイナス方向へと疾走してしまった。本当の意味での「日米対等」はすでに空論となり、日本は従属的な立場を強化しながらも「対等」な関係を懇願しようとした。日本は太い縄で米国の戦車にしっかりとくくりつけられ、「自立」からますます遠ざかっている。「東アジア共同体」はさらに望むべくもない。日本はわざわざ米国を引き込んで敵方を招き入れ、日米韓「三国同盟」の成立を画策し、東アジアにおける戦争の震源地が出来つつある。
2010年は中日関係の歴史において転換の年であった。日本の対中国外交を「戦略的互恵」から「戦略的抑止」へと転じさせたのは何だったのか。鳩山元首相が米国と今年5月28日に調印した共同声明がやむを得ない状況下での受動的なものだったと言うのであれば、菅直人内閣が米国と共同で中国を抑止する戦略方針を二度にわたって主体的に選択したことである。小泉政権期に損なわれた二国間関係を修復するために中日両国の国民が数年来努力してきた成果は水泡に帰し、その結果もたらされた悪影響は数年間は続き、日本が中国の台頭に対して平常心を持てるようになるまでなくならないだろう。したがって、中日関係悪化の原因は今年発生した「船舶衝突事件」と釣魚島をめぐる領土争いではなく、日本が対中国外交戦略の変更を決定した結果なのである。