今年最後のブログエントリーになります。
12月28日付け日本の各メディア報道によりますと、日本政府が発展途上国からの輸入品にかける関税を低くして途上国を支援する「特恵関税制度」について、中国製品の400品目以上を「対象外」にする方針を固めたとのことです。
この方針は以前から調整されていたものですが、今回はより具体的なアナウンスとなります。この途上国という国家カテゴリーの中には中国も含まれます。中国はこれまで日本にとって最大の輸入国であり、中国からすればこの制度の最も恩恵を受けていた国であります。今回の政府方針変更の根拠は、中国がGDPベースで世界でも上位の国家となり、言わば「もはや発展途上国ではない」ということから、「優遇の対象から外すべし」ということのようですね。
今回の「制度からの除外」によって対象となる中国製品は日用品、工業製品から農水産品など多岐にわたり、これらの日本国内での価格競争力は弱くなることは必至です。問題の焦点は「関税」ですから、今回の措置の結果によって、どの国のどの社会セクターにとってメリットやデメリットがあるのかという所と思います。
直接的な変化としては、日本国内での対象製品価格(消費者の直面する価格)の実質的上昇により価格競争力が落ち、消費者の需要が減少します、よって中国のこれら対象製品の生産者から見れば、日本向けの輸出量が減少するため売上の減少となりますね。また、日本の消費者にとっても価格上昇となりますが、理論的には代替可能な別の製品需要へとシフトすることが予測されます。おそらく、ここまでは、一般的な予測であると思います。
また、政治的な側面から判断しても、ある製品の輸入について一国への依存度が高いよりも、多くの国から多様な輸入になっていた方が(または内需によっている方が)、健全な二国間の外交関係を保てるということ、そのバーゲニングパワー的視点から今回の措置の正当性を日本政府が日本国民に主張することができると思います。