(パート1からの続き)
・・・・・前述の分析視覚の前提をおきますと、クリスマスサービス事業と同様に近代において日本は多くの製品・サービスを海外(主に欧米)から「技術輸入」してきた歴史があります。電子機器にしかり、内燃機関、自動車にしかりです。しかしこれが「技術輸入=模倣」であることにとどまらずに、区別されビジネスモデルとして長期的に成功してきたのは、「模倣」だけでなくそこに日本独自の「小型化・精緻化・コンポーネントの組み換え」などがあったからです。これを日本人は好んで「匠の技術」とよんだりします。「匠の技術」は個人レベルだけでなく、チームレベル、組織レベル等様々な規模でのテーマであって、要素としては、執拗なまでの製品・サービスの生産効率化、消費者重視の使いやすさ追求などが含まれると思います。これは個人レベルでは、俗にいう職人技としてかっこいいものでありますし、それが崇拝されて日本製品・サービスが生産され、実際に高度経済成長期の日本が世界を圧倒したことからもその良さは証明されていると思います。
しかしながら、僕が今の日本の企業に疑問を投げかけたい部分はここから発生していると言えます。今の日本の産業が停滞に直面している要因は、過去の「匠の技術」の成功体験が故に、自国が「匠の技術」に過度に頼りすぎることと、自国でも他国でも「模倣」を一様に否定することであると思います。同時に、例えば今をときめくICT関連産業においても日本で流行している財やサービスは欧米で開発されたものであり、日本人は以前より「創造開発」する能力に欠けているといわれます。
高度産業技術化という時代が近代にやってきて、実は当初日本は「模倣」によって礎を築き、その後、得意な「匠の技術」を組み合わせることによって国際市場で競争優位を得て来ました。
しかしその結果として、自らが行っていた過去の「模倣」の事実は忘れ去られ、他国だけでなく自国においても「模倣」の否定がなされ、そのビジネス的貪欲さといったもの(バイタリティー)が失われています。