ここのところ朝鮮と韓国の双方の緊張が高まっていますね。問題勃発の要因は現在の朝鮮が抱える内政・外交そして歴史等様々な憶測があるところであると思いますが、この朝鮮半島の問題が大きくなることは、立場は違えども、中国政府にとっても日本政府にとっても「主導権なき外交」であって、この一連の問題はあまり望ましい状況でないということで日中双方の利害が一致すると思います。そしてその点を重視すれば、日中双方が共に事態の収拾を図っていく段階を望んでいくでしょう。
さて、今日のブログのテーマは、緊張の続く東アジア情勢の中で迎える、日本の学生さんの就職活動意識から見たナショナリズムについてです。
つい先日、僕が日本で地域の学生さんたちと歓談をする機会がありました。学生さんたちは20歳前後でありまして、まもなく就職活動の時期になる学年の方達も多くいました。各就職活動支援リクルート企業(リクルート会社)のデータにも出ていますが、今年はこの数十年でもっとも就職が難しい、採用が少ない、いわゆる就職氷河期とよばれる年の中でも特にその状況が厳しい年であるそうです。民間企業の採用数は最低の水準であり、また学生さんたちの就職希望は総じて安定志向となり公務員への人気も高くなっています。この要因は明らかに民間企業が日本の経済力回復が遅いだろうと予測していることにほかなりません。
こうした上述の就職氷河期が産業に長期的影響を与える功罪は多くの方が評論しているところと思います。そうした経済的事実とは別の角度で、僕が彼、彼女らと直接話していて興味深かったのが、みな経済的な動機での安定志向はありますが、それと同時に民間企業希望者も公務員希望者も国のために何かしたいという意識が高かったことです。自分が稼ぐよりも、国や社会のために何かしたい(私益よりも公益重視)という明確なコミットメントがありました。これは、少なくとも、バブル期やベンチャーブームのあった2000年前後の時とは明らかにその意識の割合が違うなといった印象です(当時も、そういった学生さんは少なくなかったと思いますが、意識の真剣さ、そしてその人数が異なります)。こうした、「国家貢献動機」というのは、あまりリクルート会社さんのデータとして表にでてこないので僕も見落としていましたが、今回の学生さんとの懇談だけでなく、他の場所でも明らかに僕が個人として感じられるほどの若年層の「公益」意識の高さを各所で感じます。