日本の政治的閉塞感、産業競争力的閉塞感、一方で海外諸国の台頭からの相対的な日本の国力の低下を肌で感じ取っているような印象をうけました。そしてそのために、自分も国民の一人として社会参画するに当たり、なにか貢献したいという意識でした。
こうした事実に、僕は2つの要素があると分析しています。
ひとつは、若年層の「国家貢献(公益)動機」というものは、実際に積極的に活用することで産業の発展、そして政治の活力からの潤滑な議論といった、いわばイノベーションを起こす形で、国家の生産性や効率性に良い影響をもたらします。そしてもうひとつは、国内向きの議論志向、対外的対立、国際的孤立、好戦的立場などといった暗い影をおとす要因です。
経済が上向いているときは、これらがともに忘却され、おおくの個人が総じて「今ある組織・生産設備への従事」をするだけで経済的便益を得られますし、政治的無関心も決して個人にマイナスの影響をあたえるほどに政策の混沌を招く結果となりません。そして個人は、海外にむけて経済的な視野を広く持って、個人として有能なプレーヤーになっていこうという動機になるでしょう。しかし、経済が下降しているときには、個人は報酬制度がうまく稼動しなくなった組織に嫌気がさし、無策な政治にも不満をもちます。そして、個人は海外にむけて視野をもつというよりも、仲間(同じ国籍同士)でかたまって内向きの議論が多くしていくという動機になるでしょう。
現在、僕が「肌で感じた」若年層の動機は、まさに経済下降時のものであって、それが故に、「国家貢献動機」と「内向き志向」が同時に強くなっています。リクルート会社さんのデータというのはある程度に信用がおけるものですが、ビジネスの世界以外のこうした動機データは当然に反映されておらず、「内向き志向」というところから「安定志向」での就職活動というデータが出てきているのみになっていると思います。