アジア太平洋政治経済調査研究センター 蔡成平理事長
日本の菅直人首相は1月14日、内閣改造・党役員人事の調整に踏み切った。閣僚13人中、11人が留任、2人が変更となったほか、4人の新顔が加わった。菅首相が就任してからわずか7カ月で3回の人事調整が行われており、日本の政界が複雑となっていることがわかる。
問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の交代は想定内だった。問責決議案が可決されたのは、中日間の漁船衝突事件での2人の対応が不適切だと野党で指摘されたことが原因だ。さらに、仙谷氏は「釈放派」、馬淵氏は「拘留派」で、釈放と拘留のどちらを主張しても「対応不適切」とされ、事件自体に矛盾があることに注目すべきだ。
しかし菅首相は仙谷氏と馬淵氏に対して異なる対応をしており、ここから菅首相の考えが読み取れる。菅首相は、民主党が右寄りの保守路線を進めば、これまで反対してきた保守主義の自民党と何の違いもなくなり、さらには民主党が危険な状態になることをよく知っている。仙谷氏は前原派だが、多くの問題における前原誠司氏との意見のずれは、極端な「右寄り」をある程度けん制することもできる。これが恐らく、これが恐らく、菅首相が仙谷氏を党代表代行に起用した理由だろう。
前原氏に忠誠を尽くしてきた馬淵氏は、前原派の主要メンバーであり、その地位が前原氏の政界での台頭に伴い高まるのも当然だ。流れに掉さして馬淵氏を交代させたのは、恐らく前原氏をけん制する意味も込められているだろう。
人事調整で最も注目を集めるのが、46歳の枝野幸男氏が史上最年少の官房長官に就任したことだ。枝野氏の首相が不在時の臨時代理の順位は一気に上がり、前原氏を越えた。
しかし枝野氏は反中で、ダライ・ラマ14世と関係が深く、日本の「チベット問題を考える議員連盟」の代表を長期務めたこともあり、現在は名誉顧問である。1995年に北京で開かれた国連世界女性会議に参加した際には、中国の核実験に反対する横断幕を掲げ、紙に大書きした抗議文を会議場に持ち込み、一時騒ぎとなった。漁船衝突事件が発生した際には、「中国は悪しき隣人」と批判し、「中国と日本は明らかに政治体制が違う。中国との戦略的互恵関係なんてありえない」とも発言した。枝野氏と前原氏は2002年に党内に「凌雲会」を結成し、現在は民主党内の少壮派議員約60人が所属している。
中日両国が中日関係の改善について模索しているときに日本は民主党の反中派を官房長官に任命し、さらに日本の若い政治家たちの不注意な発言や思っていることをずけずけと口にする行為により、中日関係はさらに厳しい試練に直面する可能性が高い。また、官邸から外務省までが外部が懸念する「枝野-前原」ラインの外交を進めれば、中日関係はさらに悪化するだろう。
しかし、中日関係を「政冷経熱」に戻すことは、中国市場に依存している日本経済や企業が望むことではないようだ。菅首相はベテランの政策通である与謝野馨氏と藤井裕久氏を起用したが、悪化が予想される中日関係に対して市場は敏感だった。新内閣が発表された14日午前、東京株式市場は軟調に推移し、日経平均株価は前営業日比90円安の1万4990円で引け、6日ぶりに1万5000円を割った。
外部の懸念に対し、枝野新官房長官は14日夜の記者会見で「お互いにウィンウィンの良き隣国関係になるよう努力する」と述べた。これに対する中国の最も理性的なやり方は、恐らく「人を判断するには、その人の言葉を聞くだけでなく行動もよく見ること」だろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月19日