特大都市の人口問題というのは、世界の都市化の過程において、解決が困難な問題である。近年、北京市の人口規模は拡大し続けており、人口の急激な増加は北京の持続可能な発展に深刻な影響を与えている。交通渋滞、就職難、住宅難、水不足、環境汚染などの都市問題を引き起こしているのだ。
国際的な大都市である東京も、高度経済成長期には、都市化の加速に伴って、現在の北京と似たような人口問題に直面した。厳しい人口膨張問題に直面しても、東京は人や労働力の自由な流動を制限せずに、都市の発展戦略をよりどころにして、効果的な措置を数多く講じることで人口の誘導と分散を実現し、良好な成果をあげた。その経験は参考に値するだろう。
人口の変動は経済成長や都市化と一致する
数値で比較してみると、北京市の総面積は東京都の7.6倍、北京市の中心部の面積は東京都の都心部の2.2倍である。人口は北京が東京をはるかに上回っているが、1平方メートルあたりの人口密度は東京のほうが高い。よって、北京は東京より大きな発展空間を有しているといえる。
都市の発展空間についていえば、京津冀都市圏(この計画はまだ正式には公布されていないが、河北省の石家荘、秦皇島、唐山、廊坊、保定、滄州、張家口、承徳の8地級市と北京、天津の2直轄市を含む)の人口は東京都市圏よりも多いが、その経済規模や1人あたりGDP、圏内都市発展レベルは東京都市圏にはるかに劣る。京津冀都市圏の協力体制はまだスタート段階にあり、北京の人口流入圧力も非常に大きい。
北京市と東京都の人口規模の変動は経済成長や都市化の過程と一致している。東京都の人口発展はおおよそ、回復成長(1945~55年の戦後復興期)、急速成長(55~70年の高度経済成長期)、安定成長(70~90年の経済安定成長期)、マイナス成長(90年代以降のバブル崩壊期と逆都市化時期)、緩慢成長(90年代後期の再都市化時期)の5段階を経ている。一方、北京市の人口発展は、押し上げ(新中国成立~50年代)、低位徘徊(60年代)、小幅上昇(70年代~80年代末)、急速成長(90年代以降~現在)の4段階に分けることができる。ここから見るに、東京の55年から70年までと北京の90年代から2010年までの人口規模の変遷は比較的似ており、東京の55年から70年までの経験はとくに参考にする価値があるものと思われる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月19日