資料写真:中国人留学生
我が国の大学同様に、日本の大学でも近年は著しい入学者獲得危機に陥っており、東京の大学でも入学者の確保が困難なほどで、辺鄙な地方の大学については言うまでもない。そのため、一部の大学では留学生を増員させる対策を打ち出し、それに伴い生じたのが、留学生に対する敷居を下げ、留学生の書類審査を甘くする現象であった。これが、偽装留学生に繁殖の土壌を与えたのである。
元々、大学が見てみぬふりをすれば、何事も無く過ぎたことである。加えて、これは大学、学生の両者にとって、メリットのある“取引”でもあった。大学にとっては大きな収入になるし、学生が学費を払って授業に出なければ、学校運営の費用が更に“節約”できる。報道によれば、青森大学では2006年度から留学生の大量受入れを開始し、留学生の入学によって学費が入るだけでなく、政府の補助金も獲得できるため、留学生が学校運営の重要な資金源であったといえる。青森大学の1年間の学費は55万円で、それ以外に10万円の入学金が必要だという。学生にとっては、どうせ“留学は偽装”で“本業はアルバイト”なのだから、卒業できなくても全く構わないのである。
しかし、青森大学はこの事件を公表し、偽装留学生を除籍処分にする道を選んだ。このことは、大学に多額の損失が生じ、学校運営が困難になることを意味する。同時に、自らのスキャンダルが明るみに出たことで、世論の非難を浴び、更には、速やかに政府に報告をしなかったことで、関係省庁から処罰を受ける可能性もある。大学にとっては、何の得にもならないのだ。