在日中国人学者:日本の「安すぎ」はよいことでない

在日中国人学者:日本の「安すぎ」はよいことでない。 最近の「安すぎる」風潮は日本社会を2つの部分に分けている。多くの高齢者や公務員はデフレ状況の中で多くの貯蓄があり、購買力は下がるどころか上がっている。これらの「勝者」に対し、若者と中年の現役労働者は日に日に重くなる各種の負担を抱えている…

タグ: 在日 中国人 学者 日本 激安 デフレ

発信時間: 2011-01-27 11:12:22 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=劉迪

最近の「安すぎる」風潮は日本社会を2つの部分に分けている。多くの高齢者や公務員はデフレ状況の中で多くの貯蓄があり、購買力は下がるどころか上がっている。これらの「勝者」に対し、若者と中年の現役労働者は日に日に重くなる各種の負担を抱えている。

在日中国人学者・劉迪氏

午前の授業を終え、大学の近くの店で食事をした後、ある喫茶店でコーヒーを飲み、午後の授業に出た。ここ数年、大学近くの安いファーストフード店は競うように値下げし、牛丼チェーンの「松屋」は牛丼を240円に値下げし、喫茶店も一番安いコーヒーを170円に値下げした。筆者のような消費者にとってはうれしいことだが、企業界や経済界の角度から見ると、決してよいことではない。

ここ数年、「ユニクロ現象」は日本のアパレル、電器、飲食など各業界を席巻し、「激安」がブームになっている。この「安すぎる」物価は2つの原動力によるものだ。まずは円高、もう一つはグローバル化だ。

しかしこの2つの原動力は日本経済に多くの問題ももたらした。円高で日本はさらに低コストで世界から商品やサービスを輸入でき、よいことに思えるが、こういった「安すぎ」により日本企業は技術革新の原動力を失っている。低コストを追求するために輸出企業が次々と海外に進出し、これが産業の空洞化につながった。また国内に残る企業は生存するためにコスト削減、人員削減、減給するしかなく、こういった動きがかえって国内の消費意欲を抑えることになった。

「安すぎ」はよいことではない。実際にデフレは貧富の差を縮めることはできず、資産を多く持つ人をもっと豊かにすると同時に、経済活力を減退させ、不景気を長引かせる。さらに税収が減少し、これにより社会保障費が減り、貧乏人に不利になることが考えられる。そのほか、財政赤字の増加や政府債務の増加にもつながる。

最近の「安すぎる」風潮は日本社会を2つの部分に分けていると言える。デフレ状況の中で労働者の昇給の可能性はなくなり、彼らは低賃金の苦痛に耐えるしかない。また、企業は賃金コストを削減するために、できるだけ正社員を雇わないようになった。企業は低賃金で非正規労働者を雇用し、これが労働者の意欲を大きく低下させている。このような状況下で、企業は技術を一定レベルに維持できないだけでなく、技術革新ができないことは言うまでもないだろう。企業は新入社員をあまり採らなくなり、日本の大卒就職率は過去最低水準まで下がった。政府がどんなに呼びかけても、大卒者に就職の場を与えることができない状況だ。

一方、大勢の高齢者は社会の勝者になっている。高齢者の数は非常に多く、今後も増え続けるだろう。彼らは安定した高額の年金があり、貯蓄も多い。そのほか、公務員も貯蓄を多く持つ勝者だ。この2種類の人たちはデフレ状況の中で多くの貯蓄があり、購買力は下がるどころか上がっている。これらの「勝者」に対し、若者と中年の現役労働者は日に日に重くなる各種の負担を抱えている。彼らは日に日に増加する税金を納め、上述の2種類の人たちを養わなければならない。これにより、彼らの労働意欲は大きく低下している。

同じ「安すぎ」だが、社会階層によってその意味は異なる。高齢者と公務員にとってはよいことだが、経済成長にとっては決してよいことではない。日本社会は「多子低齢化」から「少子高齢化」への転換、「工業時代」から「ポスト工業化時代」への転換の時期にあり、政治家は高齢者の特殊な問題を全面的に考慮するだけでなく、全体的な経済・社会の発展の問題も考慮しなければならない。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月27日

日本人フルタイムスタッフ募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで

コメント

コメント数:0最新コメント

コメントはまだありません。