12月17日に行われた沖縄フェアの「三線ライブ」、同じ日に深谷さんのカフェバーでは、沖縄料理の試食会と沖縄音楽を中心としたDJイベントも行われた。
まずはタコライスとソーキ丼の試食会。さて、この聞きなれた二つの沖縄料理、これもまた文化の融合により生まれたものであることをご存知だろうか?
タコライスはその名のとおり「タコス」と「ライス=ご飯」が合わさったもの。そぼろご飯の洋風版、といった感じだろうか。沖縄は古来より中国との親交が深いことに加え、米軍基地の存在により多くの外国人や外国文化が持ち込まれている。そしてそうした外国文化を沖縄の人々は独自の文化に柔軟に取り込んで来た。今回の沖縄フェア開催のために沖縄から駆けつけた羽二生紗奈(はにゅうすずな)さんのお話によると、「タコライス」は正にその代表のようなもので、「タコス」はアメリカ南部のテクス・メクス料理としてアメリカ人にとってはサンドイッチ感覚の軽食。本場の「タコス」であれば、これをトルティーヤにはさんでいただくところだが、そこは沖縄。米を主とする食文化をこの「タコス」とマッチングさせて、「タコライス」という独自のレシピを編み出した。沖縄の人々のたくましさと前向きさが伝わる一品だ。
そしてソーキ丼、というよりも「ソーキそば(沖縄そば)」のほうが馴染みが深いでだろうか。「ソーキ=豚のあばら肉」は、アバラの形状がざるに似ていることから、沖縄の方言でざるをさす言葉「ソーキ」と呼ばれているのだそうだ。ソーキ丼はその名の通り、これを米に盛り付けたもの。その歴史を知るには、「ソーキそば」の歴史を語ったほうが良さそうだ。
ソーキそばは明治以降、中国より沖縄を訪れた中国人の料理人によって沖縄に持ち込まれた「中華麺」がルーツだといわれている。確かに、「清湯」と呼ばれる中国の豚出汁スープ、小麦粉で作られた麺に少量の青菜と大きな豚肉…という組み合わせの面は、中国で今日でも見られるスタイルの麺だ。
そしてこれにさまざまな工夫や「沖縄」というスパイスが加わったりして、現在は多様な個性を持つ料理となっている。
「沖縄の人々はもしや年越しに『ソーキそば』を食べるのでは?」と思って、今回の沖縄フェアの共同主催者であるパシフィック・ホスピタリティー・グループ社の佐藤社長に尋ねてみたが、「あまり(年越しにソーキそばを食べる人は)居ませんね(笑)」とのお答えだった。ソーキそばやソーキ丼は、特別なお料理、というよりもごく一般的な家庭料理として沖縄では親しまれているようだ。