コミュニケーション・チャネルを
どうやって再建するか
民主党政権はあまりにも中国と話し合うチャネルを持っていない、と批判することは簡単だ。だが、日本における各分野での人材の欠乏、マスコミの発信能力の不足をみれば、たとえ今、それをあえてやろうとする人が出てきても、成功する可能性は皆無に近いのではないか。
「中日関係はしばらく疎遠になっていくだろう」と、中国の日本専門家は見ている。少なくとも2011年に、急に好転していく見込みはほとんどない。中国は、フランス、スペイン、ドイツ、イギリス、最後に米国とやったように、日本と400億ドルの商談をする用意をしているという話は伝わってこない。
そうなると、環境、省エネ、新エネルギーなどのいろいな分野で中国市場を開拓していこうとする日本企業は、中国政府と外国政府が共同で作った万里の長城の前で、立ち止まらざるを得ないかもしれない。環境・省エネは、かつての家電と違い、政府がそれを国家経済計画に入れ、あるいは地方自治体の経済計画に入れて初めて実現するものであり、個別企業の努力には限界がある。
米国などの国が、台湾問題、チベット問題などで中国に譲歩したという報道はない。日本の民主党が政治、軍事、外交などの面では中国にものを言うこと自体は、間違ったことではない。しかし、言いたいことを言うが、一緒にお酒は飲まない、会わない、会っても話はしないという現状を変えていく力がないと、中日関係はさらに難しくなるだろう。
松下政経塾出身者の民主党議員ですらも、はっきりと中国を軽視するような発言はしていない。けれども新幹線にしても原子力発電所にしても、さらに環境・省エネの分野で、どのようにして中国に話を持ちかけるかに関して、ついぞ彼らの口から具体的な話を聞いたことはない。
中日の新しいチャネルは、やはり経済からもう一度再建されるだろうと思われる。独立国家の連合であるEUの設立の過程で、鉄鋼、石炭関連の企業経営者、銀行のトップが大きな貢献をしたのと同様、おそらく中日も経済分野から再スタートするだろう。日本の利益、また自社の収益のためには、はっきりとものを言う日本の経営者が今後輩出すれば、チャネルはおのずと構築されてくる。
中国には少なくとも3万社の日系企業があり、直接・間接の雇用者数は1000万人を上回っている。中国の日系企業には、トップが日本の本社で常務役員になっている大企業も出ている。これから彼らは、本当に中国を熟知し、中日の経済関係をどう構築していくか、企業の枠を超えて発言していくと期待される。
日米同盟が基軸という姿勢を、日本は変えないだろうが、同時にアジアの時代が来るに際して、アジアで活躍する政治家も日本から出てほしい。日本が日米同盟を基軸に、日韓軍事同盟を建設し、アセアン諸国との良好な関係を持ち、さらにインド、オセアニア諸国にも友人になってもらい、「自由と繁栄の孤」を作るという選択は、これから10年、20年と継続できるだろう。しかし、「自由と繁栄の孤」を外交の基軸にするとしても、中国と話し合う場、話し合えるような専門家は必要だと思う。発信力を強化していくことも急務だろう。
ただ、経営に苦しんでいる日本のマスコミ各社の問題は、中国語での発信ができないことではない。現在の発信の方式自体を変えないと、中国で成功する保証はない。
中日間には、領土などの問題は存在しているが、それは中国から見て、武器を台湾に売ることや、人権問題で中国を厳しく糾弾することほどの核心的問題ではない。また、中国が海軍を派遣して小さい島を奪うことはあり得ない。
今、一番不足しているのは、中国との交渉チャネル、交渉する勇気だ。民主党が中国に対して敵視政策だけを取るとすれば、中国との関係はますます遠くなるだろうと思われる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月31日