米ニューヨークのタイムズスクエアにある大型スクリーンで放映されている「中国国家イメージCM―人物編」
シンガポール『聨合早報』は2月5日「「官」から「民」への転換期を迎えた中国ソフトパワーの伝播手法」とする文章を掲載した。過去一年あまりの間で、経済・軍事・地政などの方面におけるハードパワーの衝突で対外関係が不安定になったことをうけ、中国は文化や人的要素を大量に投入して国際社会の懸念を払拭しようとしている。
この背景の下、中国の指導者が今年初め米国を訪問した際、ニューヨークのタイムズスクエアで放映された「中国国家イメージCM―人物編」は特に人々の注目を集めた。
美女、スポーツ選手、企業家、映画監督、宇宙飛行士……これらの人物を出すことで、ソフトなイメージをPRしようとする意図が明らかである。時代遅れの八股文も政治的スローガンも存在せず、登場人物59名の中に、政府関係者は一人もいない。
時を同じくして、北京の天安門広場付近には、高さ9.5mの孔子像が設置された。それは調和思想や道徳を強調するためだけでなく、中国が孔子文化の力を借りて自身のソフトパワー拡大を狙っていると見られている。
事実、中国はたった六年の間に、96カ国320校以上の孔子学院を設立し、全世界でその言語や文化の影響力を拡大しようとしている。
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は2009年1月の時点で次のように報道している。中国政府は450億元を投じて国営メディアのネットワークを世界に拡大する予定。中国は中国の立場から情報を発信し、西側メディアにニュース報道を独占させない形で、国家主導の強力な文化PRシステムを作りたいと考えている。
香港大学ニュースメディア研究センターの陳婉瑩所長は、次のように語った。中国国営メディアは大きく拡大しているが、その内容はイデオロギー的影響を強く受けており、国内外で社会的信用性を確立するのは難しい。中国が国際的発言権を得るにも、国営メディアだけの力ではどうすることもできない。
中国政府が資金援助を行う中国語教育事業が米南カリフォルニア州の一部の地区でボイコットを受けているとする海外メディアの報道もあった。清華大学新聞・伝播学院の史安斌副院長によれば、孔子学院が一部の人々のボイコットや非難を受ける原因は、孔子学院の裏側にある色濃い「官的色彩」と明確な「政府行為」で、それらが一部の国の大衆習慣と相容れないからだという。史副院長は、中国が、対外的な文化ソフトパワーを広めていく過程で特に力を入れるべき次なる目標は、「脱官」と「庶民化」であるという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年2月11日