福島市内の避難所で放射線量の検査を受ける男性(28日) |
シンガポール紙「聯合早報」は29日付で、モハメド・エラリアンPIMCO最高経営責任者兼共同最高投資責任者による寄稿「日本の災禍を深く理解する」を掲載した。要旨は以下の通り。
われわれが今回の日本の災禍による経済・金融への影響を分析するにあたり、歴史の先例を理解の一助とするのは自然なことだ。多くの人は1995年の恐ろしい阪神淡路大震災をすぐ例に挙げるだろう。だが阪神淡路大震災からいくつかの啓示は得られるが、今回の震災後の日本の未来を分析するには限界がある。阪神淡路大震災の例に余りに頼ると、日本や国際社会は適切な対応策を打ち出せないだろう。
■復興を特に困難にする5つの要因
日本が現在、かつてない困難と性質の見極めがたい試練に直面していることを明らかに示す5つの要因がある。
第1に、日本は今回三重の災害に見舞われており(恐ろしい地震、壊滅的な津波、核危機)、その経済的損失は阪神淡路大震災の2倍に上ると見られる。しかも阪神淡路大震災と異なり、これらの災禍は東京にも影響を及ぼした。幸い間接的影響のみではあったものの、工業生産で東京地区は日本全体の40%を占める。
第2に、日本の財政状況は1995年より悪化しており、人口要因も当時よりマイナスにはたらく。1995年には約85%に過ぎなかった公的債務の対GDP比は、今やおよそ205%に達している。16年前にAAAだった日本の格付は今やAA-だ。これによって財政措置の有効性や柔軟性は低減する。