宮城県仙台市浅海区で遺体を捜索する自衛隊員(28日) |
第3に、日本の政策金利はすでに長いこと実質ゼロの状態が続いている。日銀は大量の流動資金を注ぐためにすでに大胆な措置を講じたものの、ゼロ金利のために効力は削がれている。
第4に、核災害の不確定性が復興を大幅に困難にしている。破壊や危険の程度を考えると、日本が発電能力を完全に回復するには相当の時間が必要であり、これはGDP成長率に影響を与える。食品の安全性の問題も注視されている。また、核災害が日本人の心に影響を与えることによる経済的打撃も同様に懸念される。
第5に、日本をとりまく外部環境は以前よりも困難なものだ。阪神淡路大震災からの復興期には、中国経済の急成長、米国のIT・通信革命、欧州の政治的・経済的融合によって世界的に需要が伸び、生産力も急速に高まっていた。だが現在、主要国の総需要はまだ世界金融危機からの回復の段階にある。また、ブラジルと中国という鍵を握る新興経済国も現在、経済過熱に急いでブレーキをかけるべく政策の調整を行っている。供給面でも、各国は中東の武装蜂起による石油価格の急騰を含む物価高騰や不安定局面への対応に困っている。
こうした分析が正しければ、日本の復興が直面する試練は阪神大震災の時よりも遥かに厳しいものとなる。財産や個人所得の縮小はさらに深刻だし、復興過程もさらに長い時間を必要とし、さらに複雑なものとなる。
政府のレベルでは、相当程度の一致団結と果断な行動が差し迫って必要な事を意味する。そしてこれは日本の政治に長年欠けていたものだ。上から下までが心を一つにする団結がなければ、当局が中期的な経済成長のビジョンを伝え、実施すること、急速かつ持続可能な成長を単なる再建に止まらない対策の柱とすることは難しい。