銀行ATMでの音声発声システムはWindows OSのようなクローズドなソースを企業側がユーザーにとって最も便利なようにカスタマイズしたものです(アップデートするのもマイクロソフト側です。)。しかし、「初音ミク」音声発声システムは、Linuxのようなオープンなソースを開発者がユーザーに提供し、ユーザーがその開発者の一端となってさらにこれを発達させていくという循環をつくりました。実際問題としては、このオープンソースのビジネススキームはかなり高度で複雑であり、Linuxが決して成功した例であるとは言えませんが、僕は「初音ミク」については、ビジネススキームとしても成功したオープンソースであるとみています。ですから、エンターテイメント産業では、Linuxとは異なった「エンターテイメント的モチベーター(動機要因)」が働くことで、オープンソースにありがちな、利便性はよいけれども、供給側に金銭的メリットが無いという状況を打破できるのではないかと分析するわけです。
コアな技術そのものはオープンソースであって、そしてマーケティング技術に対し付加価値を乗せ、ユーザーに対価を負担してもらう、というメカニズムを持って、オープンソースのビジネス的な欠陥を埋めることができるのではないかという仮説ですね。
この仮説の検証にはもうすこし、定量的な研究が必要だと思いますが、エンターテイメント産業は、様々な産業でのビジネスモデルでの「穴」を埋める何かになるような気がしています。面白いですね~。「♪みっくみっくにしてやんよ!」 ガッツリと研究を進めてみたいと思います!
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(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月18日