4月17日、東京で行った記者会見で頭を下げる東京電力株式会社の勝俣恒久会長
21日、日本政府が作成した福島原発事故の賠償原案が浮上した。そのポイントとなるのが、「原発賠償機構」の新設、並びに東京電力に対し、私的、公的力を集結させ、賠償資金援助を行うというものである。これは、東電が巨額の賠償により倒産、または強制的「国有化」することで日本経済と金融市場に更なる混乱を与える事態を回避するためのものであることは明らかである。しかし、一体誰が東電の肩代わりをするのかという問題が、懸念の輪を広げている。
これに対し、東電投資者から日本国民に至るまで、結局はみなこの大型企業の巨額の賠償請求から逃れることはできないという見方もある。
福島第一原発事故の長期化はもはや避けられない事態となっている。外的援助を得られなければ、東電はその賠償金だけで破産に直面するだろう。しかし、日本経済における不動の地位と大きな影響力等、さまざまな要因が、その破産を許すわけにはいかない。
まず、その業界の特殊性と地位から言って東電は日本経済の一大「巨頭」である。その発電量は日本全国の40%を占め、関東地区の経済命脈を握っている。この独占的地位により、東電は唯一無二の重要な存在であり、一般企業のように簡単に倒れてしまうわけにはいかないのだ。
次に、東電の経済的影響力も甘く見ることはできない。2009年のデータによれば、金融・保険業を除く企業の中で、東電の資産規模は豊田自動車と日本電信に次ぐ大きさを持つ。この他、東電の莫大な資金の触角も日本経済の各方面に浸透しており、多くの大会社の筆頭株主または主力株主となっている。今月17日、東電の勝俣恒久会長が業界2番手の電信会社KDDI株を現金化し資金調整を行うと発表するや否や、KDDI及び東電が株式を保有するその他の大会社の株価が一気に下落した。
このように、東電の持つ資金能力を踏まえ、その破産による深刻な事態を回避するために、日本は公的資金を投入せざるをえない状況にある。しかし、国民の東電に対する不満感情を考えると、東電への直接の資金注入は、国民の理解を得がたい。そこで日本政府はこの度の「原発賠償機構」を原案の柱とし、東電支援に迂回路を作ったというわけだ。
しかし問題は、日本政府が東電の賠償責任には上限を設定しないことを明言したため、今後長期に渡って、各種の賠償項目が東電経営収入の主な支出となってしまうことである。そのため、東電は経営資金を確保するため、電気代を値上げする可能性があるとの見方がある。そうなると、結局は国民が東電の肩代わりをすることになってしまうのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月25日