四、今回の原発事故は、国の安全問題が多元化したことを反映している。原発の安全は、国のエネルギー安全問題から派生した課題の一つだ。国は様々な安全問題を直視しなければならない。これらの問題は、軍事上の安全問題と互いに独立しつつも関係がある。大地震の発生前、日本の指導者はいわゆる「中国の軍事的脅威」への対応ばかりに気を取られ、福島原発の事故や隠蔽問題に関しては全く準備がなかった。これは安全観に問題があるということだ。本当に国民の利益を考えた安全観が形成されていなかった。
五、福島原発は、米国からの支援と支持を受けて建設・設計されたものだ。しかし、福島原発で問題が発生した時、米国から日本へのいわゆる「保護」には限度があることがわかった。米国が優先したのは自国の軍人と救助隊の命であり、彼らを放射能の脅威から遠ざけることだった。これは核問題における米国からの保護という神話から日本人を目覚めさせることとなった。
六、未曾有の災難により、日本の国力は衰退し、「中強日弱」の流れが加速するだろう。これは、中日関係が今後新たな時期に入ることを意味する。改革開放以来、日本は対中援助を通じて両国のウィンウィンの関係を築いてきたが、今後は中国が対日援助を通じてウィンウィンの関係を築くという形に転換する可能性がある。中米日の関係も、日米が軍事的に共同で中国に対峙するといった従来の構造から、比較的バランスの取れた三角関係に転換していく可能性がある。どのみち、中日両国は新たな時期の両国関係に向け、しっかりと準備する必要がある。