ロシアのイワノフ副首相が政府代表団を率いて15日に南クリル諸島(日本名・北方領土)を視察したことで、日ロ外交に再び波紋が広がっている。日本の外務省は16日、ロシアの駐日大使を呼び抗議したが、ロシア側の反発に遭った。今回の北方領土訪問で日本の震災で改善された日ロ関係が崩れることになった。環球時報が17日、伝えた。
ロシア政府要人による北方領土訪問が日本の不満を呼んでいる。松本剛明外相が16日、ロシアのベールイ駐日大使を呼び、「日本国民の感情を傷つけるもので、遺憾だ」と抗議したと産経新聞は報じた。「昨年11月のメドベージェフ大統領の北方領土訪問以降、日本の抗議を無視した、ロシア政府要人による訪問が続いており、日本の原則的立場と相いれない」と松本外相は述べた。枝野幸男官房長官も「ロシア副首相の北方領土訪問は、日本の原則的立場と相いれず、日本国民の感情を傷つけるもので、遺憾だ。ロシアにとってもいいことはない」と語った。
日本の抗議に対し、ロシア側は強硬な態度を示している。ロシア外務省は16日、「島々に対するロシアの主権は国際法上、議論の余地はない。従ってロシアの公人の訪問を『遺憾』とするのは不適当」とする声明を発表した。ロシアのイワノフ副首相も16日、南クリル諸島への視察は仕事のためだとし、「どこを視察するのも、誰かを激怒させたり、誰かに何かを証明するためではない。私はすでに南クリル諸島に3、4回行っている。以前行った時にはどうして日本は抗議しなかったのか」といった内容の声明を発表した。さらに、視察は07年に認可された南クリル諸島発展計画の進捗状況を確認するのが目的と強調した。「これは非常に重要なプロジェクト。南クリル諸島に住むロシア国民に自分がロシアから排除されてはいないことを知ってもらうのが目的」とした。
ロシア紙は16日、ロシア政府の代表団による南クリル諸島視察と日本側の反応から、両国関係に改善がみられたものの、領土問題における双方の立場に変化はないことが再び表明されたと報じた。震災で改善していた日ロ関係が今回の視察で再び崩れた。ロシア政治情報センターの専門家によると、ロ日関係は現在非常に困難な時期にある。ロシアは選挙を控え、領土問題は国内で非常に敏感な問題になっている。日本もこの問題に対して過敏になっており、今ロシアが何か行動すれば、日本はすぐに抗議するだろう。そのため、両国の領土問題はひとまず解決は難しいという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年5月17日