中国の温家宝総理は5月22日、中日韓3カ国サミットの後、「3カ国は年内に自由貿易協定(FTA)締結交渉に向けた産学官による共同研究を終了し、来年にも交渉をスタートさせる。また、年内にも3カ国の投資協定交渉が終わるよう努力する」との考えを表明した。
いささかも疑いのないことだが、FTAの締結は、3カ国の経済発展にとって、特殊な緊迫性を備えていると言える。3カ国の経済総量は世界経済の20%近くを占め、それぞれ経済総量で世界ベスト10内にあるが、相互の貿易額は3カ国の対外貿易のわずか11%前後であり、相互の投資額も3カ国の対外投資の10%に過ぎない。FTAの締結で、相互の貿易は深さ、広さともに拡大させることができ、3カ国の経済が内向型の発展を遂げ、北米や欧州市場への依存を低減する上でプラスとなる。
●突破難しい農業のボトルネック
昨年、管直人政権は発足以来、一貫して米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を後押ししてきた。日本はTPPへの参加を通じて、真正面から推進できない日米のEPAを実現することで最低限度、対米貿易条件で韓国と肩を並べていたいと考えた。TPPへの参加条件はかなり厳しく、中国にとってハードルはかなり高く、日本はTPP参加を通じて貿易条件を改善すると同時に、米国とより緊密な貿易を実現することで。戦略的に中国に対する「優勢」を確保する考えである。
日本について言えば、計画は素晴らしいものだが、現実の環境はむしろ往々にして相手を意のままにはできない。