昨年9月、管政権は突如、TPP交渉に参与する考えを示すとともに、これを機に「第3の開国」を推進すると宣言したが、そのビジョンは壮大だと言うべきだろう。だが、農業団体の反対に遭うと、雄大ですさまじい勢いだった「開国」計画は俄然、止まってしまった。将来の中日韓のFTA問題でも、似たような困難にぶつかるかも知れない。中日韓が交渉プロセスへと進めば、道はより険しくなる恐れがある。
そのため、自由貿易問題では終始、推進させるのは難しく、根本的には、日本は将来のために現在を犠牲にする意志に欠けた国だと言えるだろう。FTAの実現は、いかなる国にとっても、短期的には得失があり、とくに農業といった低生産率の産業はダメージを受けることになる。
●利益集団の協調には有力な指導者が必要