◇高速鉄道に気まずさ
21世紀になって、新幹線は日本メディアが風刺し皮肉る対象から突如、日本の「先進技術」の代表となった。当時の扇千景国土交通相は中国を何回か訪れており、筆者の取材を受けた際、とくに新幹線の安全性と技術の成熟さを強調した上で、「新幹線の技術すべてを中国に持ってこられればと願っている」と述べた。
この時、中国の高速鉄道の話が出たが、日本は非常にふさわしくないと感じた。
中国は高速鉄道の開発に当たり、大量の技術を日本から導入しており、日本はこれをビジネスチャンスと見た。09年の10月26日付日本経済新聞は「京滬(北京・上海)高速鉄道は川崎重工系列の車両を採用。川重の協力パートナーである南車青島四方機車車両公司は、鉄道部から140両を受注し、総額は450億元に上る」と報道。日本企業も高速鉄道で当然、重要部品の供給や関連技術の譲渡などで巨額の利益を得た。
だが、09年以降、状況は大きく変わった。日本は米フロリダ州に新幹線技術を輸出するつもりだったが、地元政府が米政府の提供する高速鉄道整備計画補助金の受取りを拒絶したため、計画はアワと化した。同時に、米カリフォルニア州やテキサス州などでの高速鉄道計画も、順調に進まなかった。民主党は社会インフラを日本技術の普及の重点にすることを期待していたが、まず米国で極めて大きな困難にぶつかってしまった。
中国はもともと、日本が技術と製品を販売する重要な市場だったが、中国の高速鉄道が急速に発展しているのに気づき、第3国の市場を開発し始めたが、日本は急に一種の威嚇を感じた。新幹線は日本の“中国嫌悪”の象徴になり始め、およそ中国高速鉄道に関する記事では必ず、これは新幹線の海賊版だと論じるようになった。真に心を静めて、中国の高速鉄道は一体、どの面で日本の技術を導入したのか、どこを改良したのか、新しい特徴は何かを報じた記事はなかなか見られない。
「中国の高速鉄道は発展し、われわれももちろん、利益を得るチャンスがある。第3国に行っても、われわれにはすでにブランドがあり、技術サービスネットワークもあり、製造の面でも強みがある。中国が市場を開拓する場合はもちろん、参与するチャンスはある」。ある新幹線設備メーカーの社長は筆者にこう話した。
だが、新幹線に「中国嫌悪」の軌道を走らせながら、中日の協力を開拓し、国際化された鉄道市場を共同で構築する道を歩むのは、いま見ると、ずっとはるか先のようだ。
あるテレビ番組で、日本の鉄道会社数社のトップは強い憤りをもって中国の高速鉄道に目をやり、設備・車両メーカーに中国を提訴するよう求めた。まるで世論が、数カ月前に発生したマグニチュード9.0の地震、レベル7(深刻な程度)の原発事故よりさらに強烈な揺れを引き起こそうとしているかのようだ。
高速鉄道、これに関して日本経済新聞が発表した社説は1度にとどまらない。矛先は直接、中国に向いている。こうした侮りやののしりは、最近の鬱積した民衆の心理を晴らすだけだ。恐らく企業がどんな準備をしているのか、まだ報道されていないが、感じ取れる1点は、中国の高速鉄道は日本の新幹線のメンツを非常なまでには失わせてはいない、ということだ。メンツを失った者は怒りをぶつけなければすまない。しかし、高くかかげた日本のこぶしを、どこに振り下ろせていくかは分からない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月20日