文=コラムニスト・陳言
東京電力はかつて世界のトップ500社のうちの1つで、日本が経済危機に陥る度に最初に設備投資を行い、日本経済を刺激するのに多大な貢献をしてきた。しかし原発事故により、この空母が一瞬にして巨大な「泥船」と化してしまった。
◇大量の情報と不備だらけの記録
最近の日本の紙面には、東電の最新情報に関する情報が大量に報じられ、公開できるものはすべて公開され、何ら「隠ぺい」現象は見当たらない。が、じっくり吟味してみると、事故処理の過程でより重要な細部を回避しているのに気づく。例えば、「核溶融」に関して、東電はずっと正面から対応していない。
「もっと恐ろしいのは、原発事故処理の過程で、事故の過程を後世に正確に判断してもらう記録を誰も残していないことだ。米国はホワイトハウスのすべての談話を記録するが、日本はそうしない。この間の日本政府の対応を将来総括することはできないだろう」と日本の経済月刊誌「FACTA」の阿部重夫編集長は話す。
情報は大量にあるようだが、実際には東電という巨船をいかに指揮し、どこへ向かい、間でどんな問題が起きたか、日本人は知らないし、世界も知らない。
◇巨額の債務 誰が返済するのか
今断言できるのは、「泥船」が沈む前に、その資産が大幅に縮小したということだ。
東電側の資料によると、原発事故後の電力不足に対応するため、「火力発電の稼働増に伴い、石油や天然ガスなどの燃料費が約7000億円膨らむ」。また、株式市場では東電株が軒並み売られている。「企業債券を発行する方法で金融市場から資金を得るのはまず無理だ」と阿部氏は話す。