実際、東京では、学校指定の制服を着た小学生達、黒スーツに身を包んだサラリーマン、とみな同じで個性がない。ファッショナブルな若い女性らも結局は今の流行の似たような格好をしている。日本では、組織内での個性の発現はされない。ずらっと並ぶ同じような面々…、「個性がない」、それが諸外国が抱く日本人のイメージだ。1960年代半ば、パナソニックを筆頭とする日本の企業は日本独特の企業文化を築き上げた。会社に対する社員の帰属意識や忠誠心、序列性は日本の企業文化の基礎となった。1970年代に高度成長期を遂げた日本企業は世界の脚光を浴びることになり、諸外国が競って日本の企業文化を取り入れようとした。日本がそれに自惚れていたのも束の間、1991年以降のバブル経済崩壊により冷水を浴びせられることになった。その原因はもちろん他にもあるが、日本の企業文化におけるマイナス的な要素がバブル崩壊に追いやった原因の一つであることは否定できない。
日本の企業文化において、地位に応じた序列関係と序列の遵守は、集団の強みを生かせる、という反面、従業員一人ひとりの想像力や創造力を埋没させ、若い世代の育成を阻むことになりかねない。IT産業が日増しに重視されている今日において、それは顕著に表れている。米国では、若手の平社員が、ひらめいたアイデアを直接社長に提案することができるが、日本ではまずあり得ないことである。情報産業は世界経済を牽引するものとして、若い世代が担っていかなければならない。米国および中国の富豪ランキング中、若手IT社長が数多くランクインされているが、日本の富豪ランキングでは、IT社長のランクイン自体が少なく、若手IT社長なんてものは皆無である。
また、日本の企業は、雇用の流動性が低いため、優秀な若い人材が集まらず、企業の競争力を低くしてしまっている。日本では人材の流動性があまり受け入れられていない。それは、日本の企業文化における忠誠心から起こる現象でもあり、また、職場を自由に替えることを容認する社会的なムードが整っていないことによるものである。日本は、若手人材の流動を各方面から奨励し、若い世代の能力が思う存分に発揮するシステムを築かなければならない。そうすればようやく、企業は人材資源を有効に活用できるのである。それが日本経済の復活への第一歩となるはずである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年8月14日