教授が英語の使用拒否を呼びかけ
「ノーモア韓流」が日本人の外国文化に対する感情を反映しているとすれば、自国の言語文化に対して、日本人の感情は複雑にもつれ合っているといえる。一方で英語をグローバル化に不可欠の言語ツールとして、その存在意義を認めないわけにいかず、また英語とその背景にある西側文化の覇権が日本語や日本文化を席巻することを苦慮している。
日本は資源が乏しく、市場にも限りがあることから、日本企業は早くから将来は海外へという意識を持っていた。国際市場と連携するために日本企業は懸命に努力してきた。日本の第三産業をみてみると、ほとんど全ての商店やブランドがしっかりと英語に訳されている。ユニクロに代表されるようなアパレルブランドの多くは英語名だけだ。その他の業界も、野村證券は世界金融危機以降、アメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスを巨額で買収し、リーマンのアジア、欧州事業を併合し、国際的な投資銀行になった。第一三共は大規模にインドの製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズを買収、国際市場への参入に強い決意を表明した。
これらをみても、英語がグローバル化の通用言語であることは始終日本企業の悩みになっている。ここ十数年来、何社かの日本企業は全力でグローバル化の荒波に飛び込み、ビジネスチャンスをものにしている。日本人なら、日本企業が伸び悩んでいるのは英語が不得手であり、表現力に劣るからという原因があるのはわかっていることだ。
このため、日本の楽天やユニクロなどの企業では大胆な「企業文化転換」を図り始めている。楽天の三木谷浩史社長は、昨年、野心満々の国際系戦略を宣言し、2012年までに英語を社内公用語にし、本部を海外移転する地盤つくりをするという目標を実現すると公言している。こればかりではない。日本最大のアパレルチェーンであるユニクロも、日本企業は英語を日常の仕事で使用する言語とする必要がある、さもなければグローバル化の競争で負けてしまうといっている。このほか、電子設備メーカーのシャープも英語を日本の研究部門の公用言語とした。大手家電メーカーのパナソニックも外国籍職員の比率を更に上げると宣言している。日本の企業は切実にグローバル市場に参入し、そこで得られる利益を必要としている。だが、これは社内全体の気持ちを代弁するものではない。日本では、グローバル化によりもたらされるであろう負の局面を心配する人は少なくない。英語の提唱も保守層から常に非難の的になっている。英語を学ばないよう呼びかける「国家の品格」という本が日本の書店でずっとランキング上位にいる。日本人の中には、このバランスを失っている世界で自国の冨と文化を外部からの影響から守ろうと考えることも、もっともなことかもしれない。