文字

9･18事変の生き証人･王樹峰:蔵元での眠れぬ夜

タグ：日本　侵略　九･一八事変　瀋陽

発信時間： 2011-09-21 11:23:19 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

河北省昌黎生れ、瀋陽育ちの王樹峰さん（1909年生れ）は、「9・18事変」（日本では満州事変と呼ばれる）の際、焼酒（蒸留酒の意）の蔵元で雑役として働いていた。100歳を超えた今も瀋陽で暮らしている。

◇丁稚奉公時代の平和な日々

1925年、王樹峰さん（当時16歳）は、河北省昌黎の故郷を離れ、瀋陽市十里河鎮に住む親せきを頼って瀋陽にやって来た。その後、瀋陽市街地から30キロメートル離れたところにある焼酒の蔵元で雑役として働くことになった。

旧日本軍により瀋陽が占領されるまで、焼酒の蔵元では、穏やかで平和な日々が続いていた。ある日突然、砲弾の音が鳴り響き、王樹峰さんを含むすべての中国人の日常の静けさが破られた。

◇眠れぬ夜

1931年9月18日、夜更けのことであった。王樹峰さん（当時22歳）は仕事場に散在する道具を同僚と一緒に片づけていた。睡魔と闘いながら、王樹峰さんは、早く自分の部屋に戻りたい一心で黙々と手を動かしていた。

そうしていると突然、東の方から大きな音が轟いた。王樹峰さんは、眠気も吹っ飛ぶほど驚いた。

何だ？何が起こったのだ？大砲の音か？何でこんな遅くに砲音が聞こえるのだ？

同僚達は興奮した様子で口々に言うが、誰もはっきりしたことは分からなかった。同僚の一人が砲台の上に登ってみたが、何も見えなかったという。

ようやく静けさが戻り、１時間ほど過ぎた頃、また外が騒がしくなってきた。瀋陽市街地と十里河を結ぶ道を、ぞろぞろと沢山の人が歩いている。ある人は荷物を担ぎ、ある人は荷物を背中に負い、ある人は子どもの手を引いている。ロバや犬が鳴きながら歩く姿もあった。

この頃になってようやく情報が入って来た。旧日本軍が瀋陽に侵攻し、北大営はすでに占領されたという。瀋陽市民は瀋陽を出て、ここ十里河を経過し、さらに大連へ逃れようとしているらしい。

王樹峰さんはその日、眠れない夜を過ごした。

コメントはまだありません。