中国では年間300万トンの下水油(排水溝から回収された廃棄油を加工した食用油)が消費者の口に入っていることが関係当局の統計により明らかになっている。中国の一般家庭が必要とする食用油が年間約2千万トンであることから、食事10回につき1回は下水油を使った料理を食べていることになる。
下水油とは、生活排水中の廃棄油をすくい取り、ろ過、加工したものである。それが食用に使われていると考えただけでも気持ち悪いが、なんといっても高い毒性を持つ発がん性物質が大量に含まれていることが重要視されている。
日本の廃棄油が台湾へ
1960年代、台湾で日本の廃棄油が売られるという現象が見られた。内容的には中国で今騒ぎになっているのと同じようなものである。日本と台湾の悪徳業者が示し合わせ、日本で廃棄油を回収し、台湾で加工され、食用として販売されていた。日本では食品衛生関連の法令により管理が厳しいため、台湾で廃棄油を売ることで不当な利益を得ていたのである。