本州西部の日本海沿岸にある鳥取県は、47都道府県の中で人口が最も少ない県である。日本で出生率が下がり続け、高齢化が進み、鳥取県の人口も減少し続けている。県内の山奥の村では、人口過疎と高齢化の問題が都市部より深刻となっている。記者は鳥取県を訪れ、この地域がとる高齢化問題の解決策を探った。中でも、伯耆町福岡区の方法は印象深い。
伯耆町は大山のふもとにあり、日野川が南北に横切る様に流れる、美しい風景の広がる地域である。町内の山地に広がる静かな田んぼの横に、「上代学校」という名前のレストランがある。中に入ると、全ての「教室」の入り口にはクラス名が書かれた札が掛けられ、中には黒板があり、チョークでメニューと教訓が書かれ、学校のような雰囲気だ。ここはもともと学校だったが、生徒不足で廃校になったあとにレストランに改造された。
店内には、学生が座るような机と椅子がきれいに並べられ、まるで給食を食べるような感覚だ。「教室」の外の庭にはどぶろくを造る1軒の平屋があり、狭いが非常に特徴的だ。ここを経営するのは高齢者で、従業員もみな高齢者である。また、どぶろくの醸造を副業とする「上代学校」も高齢者によって設立された。