写真:日本の夜の街
現在、欧米の危機はますます厳しいものとなっている。世界的な株価暴落を受け、欧米主要国の財政に対する信頼性は揺らぐ一方だ。欧米の財政・金融危機は本格化の様相を呈してきた。海外市場に依存する日本では、円の上昇が止まらず、経済は低迷中だ。
しかし何人かの日本の友人に聞いたところ、日本では今回の危機の影響はまだないと誰もが感じているようだ。1990年前後、バブル経済時期のお祭り騒ぎの生活とくらべれば、現在の日本人の生活はとてもつつましい。多くの日本の友人が、中国の観光客が大量に買い物をしていく様を見て羨ましいと記者に言う。長年にわたる経済の低迷が、日本人の生活を著しく変化させている。物価指数が世界で最も高い都市のひとつである東京では、収入の減少を起因として、人々のライフスタイルがこの数年で大きく変化しているのだ。
大幅に減少する給与
長い間、東京のような大都市で仕事をする場合、ブルーカラーやホワイトカラーに関わらず、正社員でありさえすれば収入に大差なかった。しかもその計算方法は極めて容易だ。年齢に1万を掛ければ良い。例えば20歳そこそこの新卒社員の月給は20万円強である。30歳過ぎだったら30万円強で、50歳過ぎだったら50万円強という具合だ。それ以外に、会社の業績にもよるが毎年2~5カ月のボーナスが支給される。家や車が買え、さらには結婚資金を貯められるボーナスがあるから、月給は全部使ってしまってもいいというのが、長年の日本人のライフスタイルだった。
しかし現在、日本のヤフーやグーグルで「低収入」と検索すると、ブログやツイッター、掲示板などいたるところで自分の収入の低さを嘆く内容が見られる。20歳そこそこの大学を卒業したての者が月収が14万しかないことを嘆き、38歳のホワイトカラーは年収が300万円しかないのを嘆く。40歳過ぎの主婦は、夫の収入がアルバイトで稼ぐ自分の収入より低いことを嘆く…。
2008年に起きたアメリカでの金融危機以降、多くの企業で減給あるいはリストラを行っている。例えば日産の従業員の月給は平均20%減少し、新日鉄の従業員は一時帰休の強制実施により日給が85%になった。さらに重要なことに、年収のなかで大きな割合を占めるボーナスが、削減あるいは全面カットされており、彼らの実際の収入は月給の減少以上に厳しいものとなっているはずだ。