深夜までの掛け持ち仕事
以前は、日本の家庭の伝統は「男が外で働き、女が家を守る」だった。夫は稼いで家を養い、妻は主婦として食事を作り子供を学校にやる。家事が忙しくないならば、妻は華道や絵画、ヨガなどのレッスンに参加するのだ。しかし最近では、このような家庭はだんだん少なくなっている。夫の収入が大幅に減少しているので、妻も仕方なく職場に戻るようになった。そのため、子供の教育やコミュニケーション不足などで家庭内問題が生じている。東京では、妻の収入が夫のそれを上回ることも少なくなく、子供を抱いてスーパーで野菜を買う男性がだんだん増えている。
2009年、日本の有名なSNSであるミクシィで、「私は二つの仕事をしています」という文章が現れて話題になった。作者は某大企業に勤めるホワイトカラーで、年齢は40歳弱。私立高校に通う娘と小学生の息子がいる。彼はもともと年収630万円だった。生活費と子供の学費を除いた後、わずかに残ったお金で、ローンを組んで家を買った。ところが金融危機によって彼の年収は一気に480万円にダウン。ローンはおろか、子供の学費さえ払える状況ではなくなった。やむなく彼は、6時に退社すると24時間のコンビニでアルバイトすることにしたのだ。バイトは深夜1時まで続く。土曜日などは、深夜4時まで働かなければならない。文章で作者は、「ちょっと絶望しています。疲労と睡眠不足だけではありません。生活に何の面白みもなくなってしまい、精神的にまいってしまいそうです」と記している。
この文章は当時、大反響を引き起こした。コメントには、例えば「貧乏になるほど忙しくなり、働けば働くほど貧乏になる」と自分が陥った生活の不満であふれた。「一週間の睡眠時間は20時間以下。これがもう半年続いている」、「お客さんのところに行ったとき、自分の会社の名前を言い間違えた」、こんなコメントが多くを占めていたのだった。金融危機を引き金として、さらには東日本大震災が連鎖反応となって、このような二足のわらじ、あるいはそれ以上の兼業をする人が多くなっているのだ。それは過労と心の病を引き起こし、日本の新たな社会問題になろうとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月19日